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開咬(かいこう)とは?その治療例

開咬(かいこう)とは

連続した数歯にわたって噛んでいない状態

具体的にはこんな状態です。上顎前突、下顎前突は水平方向の不正です。開咬は垂直方向の不正になります。開咬の上顎前突、開咬の下顎前突、開咬の叢生と言ったぐあいになります。

この患者様20代の女性の方です。前歯が王冠状にギザギザなっています。犬歯も尖っています。これは前歯が萌出してから噛んだ事がない証拠です。正確には6歳から噛んでいない事になります。生えてきた時にはこのギザギザは必ずあります。

アイ矯正歯科クリニックにおけるリンガルブラケットを用いて治療を行った開咬症例

Case No. 208 開咬 筋機能訓練 ポッピング

Case No. 181 開咬 open bite 難症例

Case No. 111 反対咬合 開咬 八重歯

Case No. 103 唇が閉じられない 開咬 上下顎前突

Case No. 100 開咬 叢生 でこぼこ 歯の健康には重要

Case No.84 叢生(でこぼこ)を伴う開咬

 

実は乳歯列の患者様に開咬はほとんどいません。どうしてか?というと乳歯は前歯から生えてくるからです。そこで前歯が開咬になっているという事はありません。永久歯にはえ替わる時期にこの患者様の不正咬合は起きたのではないか?と考えられます。それは前歯のはえかわりの時期(6歳から7歳)と同じくして一番奥に第一大臼歯が生えて来ます。私はこの時期にしっかりとした正常な咀嚼・嚥下・発語ができていないとこのような開咬が起きると考えています。この患者様も第一大臼歯は噛んでいます。それよりも前方の歯は噛んでいません。

開咬の原因

異常嚥下癖(いじょうえんげへき)

この開咬の方は後輩の歯科医です。以前はこういった研究を大学院生としていました。ボランティアでX線映画を撮影させて頂きました。Aを見て頂くと前歯が開咬なのがよくわかります。黒く下向きの半円状に写っているのはバリウムを入れて固めた寒天です(白い矢印)。この寒天を食べてもらいました。Bの写真では寒天を舌との間でつぶしています。そしてCではつぶして泥状になった寒天を後方に送っています。Dではそれを舌の後方に送るのですが、舌は前歯の開咬部分に突き出してきているのがわかると思います。これが異常嚥下癖です。舌が前歯の隙間を封鎖すように前に出てきています。舌が邪魔して前歯が噛み合わせる事ができません。さらに下唇やその下のオトガイ部に緊張ができます。“梅干しができる”と言われるています。舌が口蓋に上がるかというのも一つの判定になります。

飲み込んで頂いた後にすぐの舌を見せ頂きました。くっきりと舌に前歯の裏側の痕がついています。これが異常嚥下癖です。正常な方は、飲み込むという動作をした時に舌は歯には触れません。

 

正常嚥下

正常な嚥下では上下の歯を噛んでから食塊を舌の上に集めてそしてすばやく喉へ送ります。一瞬ですが噛み合わせます。舌はその時は口蓋(お口の中の天井)についています。従って歯に触れる事はありません。

 

私が著者に加わっている開咬に関する論文
成人開咬者
と個性正常咬合者の咀嚼・嚥下時における口腔周囲筋筋活動の比較. Orthodontic Waves 2000;59(5):352-363(日本矯正歯科学会誌)

成人前歯部開咬者の食塊形成能力に関する研究-異なる食品における咀嚼終了時の食塊について-. 鶴見歯学2004;30(2):119-125.

成人開咬者の咀嚼運動解析-物性の異なった食品を咀嚼した時-. 鶴見歯学2003;29(1):13-21.

上記研究で大変だったのは条件を満たした開咬の方が大変少ないという事です。被検者を集めるのが大変でした。今のアイ矯正にはたくさんの開咬患者さまがいます。皮肉なものですが、これら研究で得た経験は役に立っています。

 

嚥下以上に開咬の原因になっているのが低位舌です。

・低位舌(ていいぜつ)

舌の位置を緑の線で口蓋を赤い線で表して見ました。舌尖は前歯の間にあります。異常嚥下癖よりも舌の位置の異常を開咬の原因とする矯正歯科医は多くいます。なぜか?というと嚥下を1日に800回おこなったとしても前歯を押している時間は1回1秒もありません。それが800回で長く見ても800秒です。これで歯が移動するか?と言えば無理です。しかし、低位舌なら歯に長時間触れています。しかも舌がその位置に1日のほとんど時間あるとすれば、これが原因だと考えるのは妥当な事です。しかし、低位舌の方はほとんどの方が異常嚥下癖伴っています。

 

・巨大舌症

舌が大きな場合も開咬になります。これは大変珍しい例です。状態によっては舌を小さく切除する場合もあります。

筋機能療法(myofunctional therapy)

これら舌や口腔周囲筋の異常な動作を治療するのが筋機能療法です。アイ矯正ではそれぞれの患者様に担当の歯科衛生士決めて、飲み込み方や舌の位置などを指導しています。毎回目標を決めてチェックしています。

 

骨格と前歯の傾斜角度の問題

骨格の問題

開咬は垂直方向の異常です。水平方向の異常ではありません。水平方向というのは上顎前突(出っ歯)、下顎前突(反対咬合、受け口)などがこれになります。しかし、開咬は上下方向、垂直方向の異常になります。従って開咬の上顎前突、開咬の反対咬合というのがあります。

 

開咬の特徴な骨格は顔が長い、そして下顎骨の下縁の角度が大きいとう特徴があります。顔の短い方は開咬にはなりにくいです。

 

歯の問題

上下前歯が前方に傾斜しています。前方へ傾斜した結果、前歯部が開いたという事になります。従った治療には後方傾斜させるという事を行います。

 

アデノイド顔貌

今では大変珍しくなりました。長期間にわたって慢性的にアデノイドの肥厚が見られる場合は鼻呼吸ができなくなります。そこで口呼吸をします。そのため口はいつも開けた状態になり顔が長くなります。お口の中は低位舌になり開咬になります。

アデノイドはリンパ組織です。リンパ組織は12歳ぐらいに成人の2倍近い大きさになります。しかし、その後に小さくなります。この組織はセファログラム(側面頭部X線規格写真)から確認できます。アイ矯正では必要があれば耳鼻科の先生に依頼します。アデノイドは耳鼻科の領域になります。

矯正治療開始は7歳がベスト

あらゆるタイプの不正咬合に言える事でもあります。矯正治療の開始時期は7歳がベストです。6歳頃に6歳臼歯、第一大臼歯がはえてきます。これは第二乳臼歯の後方にはえてきます。はえ変わりではなく新しくもっとも後方にはえてきます。さらにその時期に前歯がはえかわってきます。開咬患者様もこの時期から咀嚼、嚥下などのトレーニングを行ってスムースに成熟した嚥下動作ができるようになればベストです。乳歯のはえかわりは将来の歯並びに大きく影響します。

 

アイ矯正はリンガルブラケットの専門歯科医院といった点では知られた存在ではあります。これはリンガルブラケットでの治療は私ども歯科医としてのキャリアと同じです。30年以上の経験があります。患者様の多くがこの治療法を選択されるのでリンガルブラケット専門となってしまいましたが、お子様からの治療は大変重要視しています。ご相談ください。対応できます。

 

舌の動きのおもしろい話

1990年頃の遺伝学の本からの抜粋です。本のタイトルはGenetic Principles Human and Social Consequencs と言います。この本を見つけたのは私がシカゴのイリノイ州立大学シカゴ校矯正学講座顎顔面遺伝学教室(UIC)に留学していた時に大学の古本屋で偶然購入した本の1ぺーじです。その頃は分子生物学を勉強したくて古本屋さんで初期の分かりやすい本を探していました。UICはシカゴのあるイリノイ州で唯一の歯学部です。以前はノースウエスタン大学やロヨラ大学にもありましたが閉鎖されました。

 

この部分を読んだ時に驚きました。その後に同僚に舌をロールしてもらいましたが、確かにほとんどの人ができますが、中にはどうしてもできない人がいました。この赤いラインで引いてある部分ですが、これができる方が85%、その他の人は舌の横方向のコントロールをしている遺伝子がもともとないのできないようです。こんな事が調べられている事に驚きました。

 

筋機能療法にもに影響するか?こういった遺伝子による制御をもしかすると受けているのかもしれません。残念ですがそれ以後この分野の研究がどうなったか?という事は私は知りません。大変興味深い記事なので掲載しました。

 

 

 

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