ガミースマイルは矯正治療だけで治療できるのか?
ガミースマイルとは?
ガミースマイルとは大きく笑った時に上顎の歯茎が見えてしまうことを言います。これを気にしている方は多いです。
ガミースマイルになる原因を考えてみる。
上口唇が上に上がり過ぎる
元々はこれが引き金になって歯茎が大きく露出してしまいます。上口唇が上がらなければがガミースマイルになる事はありません。
鼻の下の上口唇が短いタイプ(short upper lip philtrum height)
簡単な絵を描いてみました。鼻の下が短い方、“への字口”だったらどうでしょう。少し唇が上がっただけでも容易に歯茎が見えてしまいます。
顔面中央部の鼻の下が長い
鼻の下の長さが長く口角が上にあがっています。ピースマークのような感じです。見るからに楽しそうです。こういった口の形をした人はガミースマイルにはなりずらいです。たとえ唇が上昇しても歯茎までは露出しないでしょう。
鼻の下の長さは、上顎骨と上口唇の高さ(長さ)によります。上顎骨と上口唇が長さのバランスです。バランスがよければガミースマイルにはなりません。
上顎中切歯(歯冠部)の長さ
唇の力を抜くと、上下口唇が少し開いた状態になります。この状態を安静位と言います。この状態で上顎前歯の歯冠部が見えているような方は、ここから笑顔になると上口唇がさらに上昇します。ガミースマイルになります。これには男女差があると言われています。女性の方が男性に比べて上顎前歯が見えている事が多いと言われています。私はガミースマイルは女性の悩みだと思っています。テレビの女優さんでもガミースマイルの方が多くいます。かなり気にされているはずですが、少し油断すると歯茎が見えてしまいます。
上顎骨(骨格)、上口唇(軟組織、筋肉)、上口唇の動きさらに上顎前歯の長さなどの調和が取れていない時にガミースマイルになります。
きれいな笑顔をアメリカ人から学ぶ
アメリカ人は証明写真であっても口もとがさわやかな笑顔で少し歯が見えています。日本人の上下口唇を閉じた状態ではありません。英語には笑うと言った言葉多くあるそうです。Smirk(ニヤニヤ笑う)、inspid smile(気のない笑い)、wry smile(皮肉な笑い)、sadonic smile(冷笑)、ironic smile(苦笑い)、inscrutable smile(つられて笑顔になる)、warm smile(優しい笑顔)、enigmatic smile(謎めいたほほ笑み)。辞書を引いてみました。確かに多いです。それだけ笑うという事が重要なのがわかります。
(出典:Orthodontics Current Principles and Technique. Mosby)
この2枚の顔写真をご覧ください。同じ人です。左の写真はとてもきれいな笑顔です。でもこれは努力した結果のようです。同じ方が自然に笑うともっと上口唇が上がりガミースマイルになってしまいます。アメリカ人は笑顔をとても気にしている事がよくわかります。文化の違いもありますが、私は患者様に“ガミースマイルを気にするなら、まずは鏡を見て練習してください”とアドバイスします。最近になってアンカースクリュウで前歯を上方に圧下させるという方法を耳にします。しかし、よく圧下できても2~3㎜でしょう。解決は難しいでしょう。
矯正治療だけでガミースマイルを治療する事が難しいというのが結論です。もしおこなうなら原因をよく把握して、外科的なアプローチが必要になります。そこまでする前にまずは笑顔を鏡の前で確認してみてください。上口唇が上がりすぎなければ起きない。上口唇があがった位置まで歯を移動させるというのは間違いだと思います。軟組織の位置に硬組織を合わせる事になります。笑顔の作り方を練習するのがよいと思います。