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何歳まで矯正治療できるの?60歳から矯正治療は可能ですか?そのリスクは?

何歳まで矯正治療はできるの?若年者だけ?

こんな疑問を持たれている方は多くいると思います。私と同世代、あるいはそれ以上の60歳代、70歳代の患者様を実際に治療しています。“何歳までできるか?” “私は何歳でもどうぞ”とお答えします。私たちの年齢の方が矯正治療のもっとも適した年齢は高度成長の始まる頃です。1964年の東京オリンピック、1970年の大阪万国博覧会この時期におそらく矯正の専門歯科医院は全国に50件も満たなかったはずです?実際、私が大学の矯正科に入局した昭和60年(1985年)、この時期に矯正治療のできる歯科医は100人もいないと当時の教授が言っていました。また矯正歯科学会大会の参加者も約2000名でした。今はその2.5倍ぐらいはいると思います。現在50歳以上の方で不正咬合のままという方が多いのは当然の事です。矯正治療を受ける機会に恵まれなかった。あの頃は一般歯科医院の待合室に患者様があふれていました。1日に50人以上の患者様を1人の歯科医が治療していたなんていうのは普通でした。良い治療はできませんね。地方都市には矯正歯科医がいませんでした。矯正治療は政令都市でないと専門の開業医はいなかったはずです。

実際に治療した例を見て頂きながら矯正治療の必要性を考えてみましょう。

歯周病(ししゅうびょう、歯槽膿漏)と矯正治療

ブラッシングをきちっとしているのによくならない。改善しないという患者様は多くいます。歯並びを整える事によってお口の中の環境が変化します。口腔清掃がしやすくなる事が歯周病の改善につながり、よい結果につながります。

成人女性の患者様です。歯茎の色も赤く、歯肉から排膿もありました。患者様ご自身はブラッシングを毎食後おこなっていました。しかし、この状態です。この不成咬合の種類はかみ合わせが深いタイプの上顎前突に分類されます。そして歯の健康状態のもっとも悪いのは交叉咬合(反対)になっている側切歯でした。この歯は歯周病に罹患している事、交叉しているために余計な力が加わった事も考えられます。来院時のレントゲン写真をお見せします。

緑のラインは歯槽骨の上縁です。上顎側切歯はかなり低い位置まで骨が下がっています。この歯は保存不可能と診断しました。動揺と排膿もありました。もっとも早く矯正治療をしていれば助かりました。さらに状態の悪い下顎右側側切歯を抜歯しました。前歯でも状態の悪い歯、治る見込みのない歯を選択して抜歯します。これによって入れ歯やインプラントになる可能性を減らす事ができます。リンガルブラケットを使って矯正治療を開始しました。

大変かみ合わせが深いのでまずは下顎からリンガルブラケットブラケットを装着しました。下顎前歯が上方に伸びあがっているのがわかります。これが噛み合わせが深くなった原因です。下顎前歯を骨の中に入れる方向で移動させます。これを圧下とよびます。歯周病の患者様にとってはこの方向の歯の移動は望ましい事です。歯が骨から出るような方向の力は加えてはいけません。これが歯周病を罹患している患者様の矯正治療で重要な事です。

伸びあがっていた下顎前歯が圧下しました。下顎歯列が平らになりました。実は正常咬合者の歯列は平らです。これをレベリングと呼びます。上顎左側側切歯を抜歯しました。下顎前歯は圧下されて噛み合わせが改善してきました。同時に歯茎の発赤が消えて健康的なピンク色になってきました。

治療中は毎回のブラッシングとスケーリングをおこないました。その結果、歯茎の色は健康なピンク色に変化しました。よくなった事がわかると思います。

骨の付着位置が上方へ改善してきました。ここまでの治療期間は26か月でした。

装置をはずしてから6年が経過した時の状態です。

 上顎にはワイヤー固定式のリテーナーが装着されています。とても良好です。

歯周病の進行は認められません。骨の付着位置の低下もありません。このままブラッシングや定期的なスケーリングで管理していけば一生ご自身の歯で過ごす事ができます。この時点で患者様は60代の半ばになっていました。歯周病に罹患していると矯正治療はできないと思っている患者様は多くいます。そんな事は決してありません。前よりも健康になりました。

反対咬合(受け口、下顎前突)のために下顎前歯の動揺が止まらない。歯を抜かずに治療しました。

50代後半の患者様です。受け口のために下顎前歯が開くように前に押し出されていました。ピンセットで触るとかなりグラグラと揺れます。この状態のままだと近い将来、下顎前歯を失う事になります。この状態のかみ合わせで今までよく歯を維持できた事が不思議なぐらいです。これを咬合性外傷と言います。噛む事で外傷になってしまうという事です。

非抜歯、リンガルブラケットで治療を開始しました。

レントゲン写真をご覧になって頂くと上顎前歯が下顎前歯を押し出している事がわかります。骨格性反対咬合(受け口)です。下顎前歯が骨から出て行ってしまいそうです。

徐々にかみ合わせが変化してきました。この時期は患者様は噛めなくて大変な時期です。下顎前突の治療途中では下顎前歯が上顎前歯の内側に移動させなければなりません。一時期、前歯の噛み合わせが不安定になります。成人の患者様の場合は前歯が萌出し始める6歳からこの状態です。約41年間反対のままです。これを改善します。大きな変化です。

受け口が治ってきました。噛んでいなかった臼歯部も咬合してきました。臼歯が噛んで来る事によって前歯の負担を減らす事できました。

ブラケットが装着されている最後の状態です。ここまでの治療に20か月を要しました。一年半と言ったところです。スピード感のある矯正治療でした。どんどん良くなっていったという感じです。

治療前後の重ね合わせを見て頂くと下顎骨が後方に移動しています。反対で噛んでいた時に下顎が前方に強制的に誘導されていました。治療が終わった時には60歳でした。大変喜んでくださいました。長年、悩んでいたのがよくわかりました。治療しなければ間違いなく下顎前歯は失ったはずです。

叢生、口もとが出ている事の改善:第一小臼歯抜歯症例

お子様が他の歯科医院で矯正治療をおこない、とてもきれいな状態になった事をきっかけにアイ矯正歯科に来られました。同じ歯科医院で治療しなかったのはリンガルブラケットでの治療を希望されていたためです。実はこういった患者様は多くいます。お子様は他の矯正専門歯科医院で表側から矯正治療ししたけれど、自分は装置が見えるのが嫌だ!です。

前歯部に叢生があります。上下前歯が前方に傾斜しています。口もとが出ていました。上下顎前突です。

レントゲン写真からも上下前歯が前突しています。上下顎前突です。

上下左右第一小臼歯を抜歯して矯正治療が始まりました。

叢生は解消しています。前歯を内側に移動している所です。

リンガルブラケットを外す直前の状態です。

前歯が内側に大きく移動しました。同時に口もとも下がりました。

ここまでの矯正治療に33か月を要しました。第一小臼歯を抜歯してその隙間を使って歯を排列し口もとを下げました。

60歳を超える年齢の患者様の矯正治療を見て頂きました。この年代の方の口の中は冠がかぶさっていたり、歯を失ってインプラントになっていたり、ブリッジだったり、差し歯だったりと色々な事があります。その患者様それぞれのお口の中でベストな状態を作る事に集中して治療をおこないます。あきらめないでください。ご自分が長年のコンプレックスや悩んでいた事が解決あるいは軽減させることができます。

60歳過ぎからの矯正治療、そのリスクは?

はっきり言ってリスクはありません。最初に精密検査をします。そこで問題点の抽出をおこないます。それに対してどうアプローチしていくかを検討します。歯列を拡大するような治療はしません。骨の中から歯が出ていく方向に移動させません。歯の移動方向には注意が必要です。

すでに成長発育はありません。唾液の分泌量も年々減少していきます。女性の患者様によく見られる現象です。こういった加齢とともに起きる変化を考慮しています。特に上顎前突で前歯を唇でおおう事ができないような場合はブラッシングなどをしても前歯の歯周病の改善は見込めません。前歯部の歯肉が乾燥してしまうからです。お口の中の健康が第一でその環境づくりを矯正治療がダイナミックにおこないます。歯周病やう蝕は毎月の来院時に必ず歯科衛生士が確認し、機械的に歯を研磨します。最後にフロスを歯と歯の間に通しう蝕はないか?確認して矯正治療に移行します。矯正治療をしていない時よりも口腔内は清潔になります。

 

このままで死ねるか?そんな思いが伝わってくる患者様が多くいます。長年気にしてきた。しかし、矯正治療を受ける機会に恵まれなかった。リンガルブラケットがその夢を達成させるために日本で生まれた治療法です。

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