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歯の萌出位置異常と治療例

歯はいつも決まった正常な位置にはえて来るとは限りません。歯がはえて来る前の状態を歯胚と呼びます。歯胚の位置異常、あるいは歯の萌出順序によって影響を受ける事があります。

逆生歯

はえて来る方向と逆向きにはえて来る歯。たとえば上顎なら鼻に向かって萌出してくる歯の事を言います。上顎前歯部に見られる事が多いです。

上顎正中にある歯が鼻の方に向けて埋まっています。この状態だと正中離開の原因になります。過剰歯でしたら抜歯になりますが、正常な歯の逆生歯の場合は必ず抜歯になるわけではありません。私の経験では以前5歳の患者様の上顎中切歯の逆生歯を治療した事があります。まだ歯の頭の部分歯冠部しかできていない状態で萌出が遅いという事で来院されました。反対側の同名歯がはえていたので一般的な時期には早かったのですがレントゲンを撮影しました。そして逆生歯だという事を発見し、外科的に開窓し牽引しはえてくる方向を180度変更させる事に成功しました。写真などがなくお見せできないのが残念です。歯根が完成する前に早期に発見、方向転換できるのがこの治療のポイントになります。付き添ってきてくれていたお母さまが“このまま前歯がなければどうしょうか?と思っていた。本当に有難うございます。”と言ってくれた事が忘れられません。

移転歯

並んでいる歯にはそれぞれ位置があります。例えば正中から数えると、中切歯、側切歯、犬歯、第一小臼歯、第二小臼歯、第一大臼歯、第二大臼歯といった具合です。このはえて来る位置が逆転しているのが移転している歯で移転歯とよびます。出現頻度は高くありませんが最もよく見られるのが犬歯と第一小臼歯です。多くは片側に現れます。

緑色の円で表しています。これは犬歯が八重歯のようですが、前から数えて頂くと5番目になります。第一小臼歯(4番目)の歯の後に犬歯(3番目)があります。典型的な移転歯です。

アイ矯正歯科クリニックで治療中です。リンガルブラケットで治療しているので装置が見えません。手前の歯は仮の歯です。歯がない事を隠しています。仮の歯を除くと犬歯が3番目に来ています。これで正常な位置です。少し上顎前突(出っ歯)なのでこれから前歯を後方へ移動させます。

移転している歯が犬歯で重要な歯でした。なるべく前方の第一小臼歯を抜いて犬歯を排列する事にしました。

埋伏歯

犬歯が埋伏しています。前後の歯は犬歯の存在を避けるように歯根が開いた状態です。ここで犬歯を抜くか?その後方の第一小臼歯を抜くかの選択になります。

円で囲った部分に犬歯が埋伏しています。お口の中からだとまったくそんな感じはありませんが歯の数が右側だけ1歯少ないです。

埋まっている犬歯の精密な位置を確認して口腔外科医と協力して犬歯の牽引開始です。

埋伏していた犬歯を牽引し排列したところです。後方にあった第一小臼歯を抜歯しました。どちらの歯を抜くか?というのは歯の価値を判断して決めます。今回は歯根の向きなどを考慮して第一小臼歯を抜歯して犬歯を排列しました。正しい選択でした。

埋伏してる歯は必ず牽引すれば萌出してくるわけではありません。しかし、かなりの確率で成功します。

垂直方向に重なっている大臼歯

これは大変珍しい症例です。私は30年以上歯科医をしていますが、この患者様以外で見た事は一度もありませんでした。正式に何と言うのか?もわかりません。

上顎第二大臼歯と第三大臼歯が縦に排列しています。患者様は “噛むと痛い” と言う事でした。上にある第三大臼歯を抜歯する事は下の第二大臼歯の歯根を傷つける可能性が高いので抜けません。また下にある第二大臼歯を抜歯しても必ず第三大臼歯がはえてくるわけではありません。矯正治療後の現在は痛みもおさまっているので今後は要観察です。

歯の萌出には色々な事があります。鎖骨頭蓋異形成症という先天的な疾患があります。この患者様は成人になっても第一大臼歯をのぞいて歯のはえかわりが大変遅く、成人の方でもお口の中はほとんど乳歯といった疾患もあります。

Case No. 204 乳歯の晩期残存 犬歯の水平埋伏

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