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ダブルワイヤーテクニック(裏側矯正治療法)とは?メリット・デメリットについて

ダブルアーチワイヤーテクニック(double mushroom archwire technique )とは

上下2段の溝(スロット)に2本のアーチワイヤーを同時に装着し調整する事によって治療の質の向上を目指した治療法です。

ダブルアーチワイヤーテクニックはアイ矯正歯科クリニックで生まれたテクニックです。如何にしてリンガルブラケットを用いた治療のクオリティを上げられるか?というのがリンガルブラケットの先人たちの課題でした。私どもが30年間の臨床経験でたどり着いた答えがこの治療法です。

リンガルブラケットは進化と発展の結果、マルチスロットのブラケット構造になりました。

フジタメソッドのブラケットは世界で唯一のマルチスロットブラケットです。これは世界で類を見ないブラケットです。これは歯の裏側から治療をおこなうためにあらゆる場所から矯正力を加えられるように進化してきたブラケットの結論です。フジタメソッドはご存知のように世界で最初のリンガルブラケットによる治療法です。40年間改良を重ねてきました。6回の大きな変更を経て現在はこれ以上はないというレベルにまで向上して来ました。

この写真は小臼歯用のフジタ第6世代ブラケットです。私が大学の基礎系の研究室で実体顕微鏡下で撮影しました。見ていただくと上段、そして横にワイヤーを入れるための溝があり、真ん中に穴があいているのがわかると思います。この多機能性をマルチと呼び、そして溝をスロットと呼びます。これでマルチスロットになります。このスロットの両方とも同時にワイヤーを入れて矯正力を作用させるというのがダブルワイヤーテクニックです。実は開発した藤田博士も考えていなかったそうです。これまではオクルーザルスロットを使用して治療していました。私はこの2つのメインスロットを同時に使用する事によって確実な歯の移動を実現しました。double mushroom archwire technique と名付けました。すでに2008年の日本矯正歯科学会で発表し、2015年論文を公開しました。ではこの治療法について解説していきます。

研究論文

 Invisible treatment of a severe Class I crowding with multilingual bracket system using new double mushroom archwire technique in a young adult female patient. J World Fed Orthod. 2015; 4: 151-161.

 

国内発表

不正咬合の様々な症例に使用できるフジタメソッドのダブルワイヤーテクニック.67回日本矯正歯科学会大会,幕張メッセ(千葉),2008916,18.

 

海外招待口演

Fukui TA new double wire technique in the Fujita method” key note speaker, the 4th Congress of Korean Association of Lingual Orthodontists, Catholic University of Korea, Seoul, Korea (KASLO). 2011.4.17.

Fukui T. “Double Archwire Technique for the lingual bracket treatment with Fujita Lingual Bracket”. key note speaker, the 6th Scientific Congress of World Society of Lingual Orthodontics. Coex, Seoul, Korea. 2015.7.3-5.

Fukui.T. 隐形治疗:Fujita 舌侧托槽和蘑菇型弓丝

Invisible Treatment:Fujita lingual bracket and mushroom archwire. 北京、2018年12月22日

 

書籍

 Fukui Tadayoshi著:The Philosophy and Art of  the Lingual Bracket Treatment .

 Characteristics of Orthodontic Teeth Movement with the Fujita Lingual Bracket Appliance. The Double Archwire Techinique. 2020年2月:p40-45

 

利点

歯の排列:材質の違うワイヤーを2本同時に装着する。

超弾性ワイヤーと通常の材質のワイヤーを組み合わせます。動かしたい歯だけを移動させる事ができます。歯を動かすための作用に対して必ず同じ量の反作用が発生します。その反作用はすべての歯で受けとめる事によって影響をなくす事ができます。動くのは側切歯だけです。他の歯にむだな動きをさせる事がありません。グリーンのサークルでかこっているように側切歯だけが徐々に排列していきます。。

歯の平行移動:2本ワイヤーを装着する事で歯の平行移動が可能になる。

Fujitaのブラケットはアーチワイヤーを装着するために上下2段のスロット(溝)があります。この上下2段のスロットに同時にワイヤーを装着する事によって歯を平行移動させる事が可能になります。

レントゲン写真から上下2段にワイヤーが入っています。これは歯を平行移動させるためです。矯正力は歯冠部(頭の部分)にしか加えられません。歯冠に比べて歯根が長いので、歯は引っ張られた方向に傾斜してしまいます。これは表側のブラケットでも同様の現象は起きます。そこで上下2段に平行にワイヤーを装着します。電車のレールをイメージして頂ければ理解しやすいと思います。

黒い矢印は歯の抜いた場所を隠すための仮の歯です。アイ矯正では装置を表側に装着する事はありません。そこで前から見て抜歯した場所が目立つようでしたらこうして歯があるように見せます。

前歯の傾斜角度のコントロールが可能になる。

歯の傾斜角度に応じて2本のアーチワイヤーの幅(a)は変化します。これが歯軸傾斜角度をコントロールを可能にします。上下のアーチワイヤーの幅を維持すれば理論上は歯の傾斜角度の変化は起きません。

さらに下段に前歯を後方に移動させるアーチワイヤーを装着すると前歯は前方に傾斜するように内側に移動します。歯が過剰に後方へ傾斜するのを防ぐ事ができます。前歯が内側に傾斜しすぎるとガミースマイルなどの原因になります。

 

歯を抜いて治療する場合は、前歯の角度をコントロールする必要があります。この時にも上下2段のワイヤーを使用します。特に下顎の前歯で使用します。少し専門的になりますが下顎前歯と下顎骨下縁との間で作る角度は成人の日本人女性の平均値は93.8度です。上顎前歯は104.34度で下顎前歯の角度はかなり小さいです。そこでアーチワイヤーを2本装着し、下顎前歯が過剰に内側に傾斜しないようにします。上顎に使用する事もあります。

 

アイ矯正歯科クリニックの治療結果はかなり向上しました。しかし、かなり高い技術を必要とする所が欠点です。しかし、矯正治療には薬はないという現実があります。矯正歯科医が具体的に患者様に向き合っておこなうことは一つずつワイヤーを調節し歯を動かすことです。手間をおしまず毎日この治療法をおこなっています。患者様にとって違和感や痛みが増すという事はありません。

欠点は高い技術が必要

術者に熟練した技術が必要だという事です。このテクニックを矯正歯科医にプレゼンしても多くの矯正歯科医は“ワイヤーが曲げられない”とあきらめます。どうしてもリンガルブラケットで治療したいという強い意志のある歯科医だけが修得可能です。かなりのトレーニングが必要となります。プロとして当然の事です。

この治療法の発見秘話

この方法を思いついたのは、2003年シカゴから帰国した年だったと記憶しています。金曜日の夜中に見た夢でした。当時の私はリンガルブラケットを用いて治療した時に必要以上に歯が後方に傾斜してしまう事に悩んでいました。この方法を夢に見たのです。朝起きて大興奮です。診療所から藤田欣也先生にお電話してこの件について説明しました。突然の電話にも関わらず1時間以上説明し、意見を交わしました。

フジタのブラケットはすでに完成の域に達していました。このブラケットのスロットは日本人の正常咬合者のデータから算出されています。そこで2つのメインスロットの距離や角度の関係などを詳しくお聞きしました。“これは先生の方法でいいんじゃんないですか”と言ってくださいましたが、“私はこのブラケット有りきの方法なのでフジタメソッドの中のダブルワイヤーテクニックにしてください”と言いました。この会話はいまだに忘れられません。当時、リンガルブラケットの特徴的な歯の動きに悩んでいた時期でもありました。夢に出てきた事が役に立ちました。友人に話すと“矯正バカだ!!夢に見るか??”と呆れられました。今では患者様ごとに考えアーチワイヤーを2本入れたり、1本にしたり、状況に合わせて調整しています。ベストを尽くす事が重要です。

 

福井 只美
 

このブログの執筆者
福井 只美医師(日本矯正歯科学会指導医・認定医)

リンガルブラケットについては長年の経験があり、
自身で開発したダブルワイヤーテクニックを用いた治療を得意としております。                
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