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ドクターズブログ

歯の萌出位置異常、埋伏歯、過剰歯の治療

歯の萌出位置異常とは

歯はいつも決まった正常な位置にはえて来るとは限りません。歯がはえて来る前の状態を歯胚と呼びます。歯胚の位置異常、歯の萌出方向、萌出順序によって歯並びは大きく影響を受けます。

中切歯(中央の前歯)の歯根を吸収しながら犬歯が萌出してきています。

まれな事ですがこういった事例もあります。異所萌出してきた犬歯が中切歯の歯根を吸収して萌出してきています。

この場合は上顎中切歯を抜歯します。前歯がなくなるのは大変つらい事です。そこで抜歯する前に同じように見える仮の歯を作って準備しておきます。そして抜歯した時にその歯を隣の歯に接着させます。これで普通に社会生活は送れます。その内側から犬歯を牽引します。今度は犬歯が中切歯の所にきます。犬歯は先が矢じり状の歯です。形態修正が必要です。すべての治療は周囲の人からはわからないようにおこないます。

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逆生歯

逆生歯とは

はえて来る方向と逆向きにはえて来る歯。たとえば上顎なら鼻に向かって萌出してくる歯の事を言います。上顎前歯部に見られる事が多いです。

逆生正中過剰歯

上顎正中にある歯が鼻の方に向けて埋まっています。この歯は過剰歯です。過剰歯とは本来の歯ではなく余分な歯です。歯が多くあるという事です。この状態だと中切歯は過剰歯が存在しているために正中離開の原因になります。過剰歯でしたら抜歯になります。

逆生歯

正常な歯の逆生歯の場合は必ず抜歯するというわけではありません。なるべく早い段階で歯の萌出方向を逆転させる必要があります。私の経験では以前5歳の患者様の上顎中切歯の逆生歯を治療した事があります。患者様は、萌出が遅いという事で来院されました。反対側の同名歯は萌出していました。レントゲンを撮影した結果、逆生歯だという事を発見しました。外科的に開窓し牽引しはえてくる方向を180度変更させる事に成功しました。歯根ができる前の早期発見、早期治療が重要です。お母さまが“このまま前歯がなければどうしょうか?と思っていた。本当に有難うございます。”と言ってくれた事が忘れられません。このまま気が付かなければ歯は抜歯になります。5歳から前歯がないというのは精神的にも大変なダメージになります。

移転歯とは

並んでいる歯にはそれぞれ位置があります。例えば正中から数えると、中切歯、側切歯、犬歯、第一小臼歯、第二小臼歯、第一大臼歯、第二大臼歯といった具合です。このはえて来る位置が逆転しているのが移転している歯、すなわち移転歯とよびます。出現頻度は高くありませんが最もよく見られるのが犬歯と第一小臼歯です。多くは片側に現れます。

緑色の円で表しています。これは犬歯が八重歯のようですが、前から数えて頂くと5番目になります。第一小臼歯(4番目)の歯の後に犬歯(3番目)があります。典型的な移転歯です。

アイ矯正歯科クリニックで治療中です。リンガルブラケットで治療しているので装置が見えません。手前の歯は仮の歯です。歯がない事を隠しています。仮の歯を除くと犬歯が3番目に来ています。これで正常な位置です。少し上顎前突(出っ歯)なのでこれから前歯を後方へ移動させます。

移転している歯が犬歯で重要な歯でした。なるべく前方の第一小臼歯を抜いて犬歯を排列する事にしました。

治療例No.244 移転歯 上顎前突

埋伏歯

犬歯が埋伏しています。前後の歯は犬歯の存在を避けるように歯根が開いた状態です。ここで犬歯を抜くか?その後方の第一小臼歯を抜くかの選択になります。

円で囲った部分に犬歯が埋伏しています。お口の中からだとまったくそんな感じはありませんが歯の数が右側だけ1歯少ないです。

埋まっている犬歯の精密な位置を確認して口腔外科医と協力して犬歯の牽引開始です。

埋伏していた犬歯を牽引し排列したところです。後方にあった第一小臼歯を抜歯しました。どちらの歯を抜くか?というのは歯の価値を判断して決めます。今回は歯根の向きなどを考慮して第一小臼歯を抜歯して犬歯を排列しました。正しい選択でした。

埋伏してる歯は必ず牽引すれば萌出してくるわけではありません。しかし、かなりの確率で成功します。

垂直方向に重なっている大臼歯

これは大変珍しい症例です。私は30年以上歯科医をしていますが、この患者様以外で見た事は一度もありませんでした。正式に何と言うのか?もわかりません。

上顎第二大臼歯と第三大臼歯が縦に排列しています。患者様は “噛むと痛い” と言う事でした。上にある第三大臼歯を抜歯する事は下の第二大臼歯の歯根を傷つける可能性が高いので抜けません。また下にある第二大臼歯を抜歯しても必ず第三大臼歯がはえてくるわけではありません。矯正治療後の現在は痛みもおさまっているので今後は要観察です。

治療例No.204 乳歯の晩期残存 犬歯の水平埋伏

鎖骨頭蓋異形成症

歯の萌出には色々な事があります。鎖骨頭蓋異形成症という先天的な疾患があります。鎖骨が形成されていない事からこの名称がついています。他にもCentral defectという症状があります。これは頭の泉門が閉鎖していない。2次口蓋裂など体の中心部の癒合不全が見られます。この疾患の原因はRunx2という骨のマスター遺伝子の異常から起きると言われています。

成人の方でもお口の中はほとんど乳歯といった状態です。レントゲンで確認すると、お口の中は多数の埋伏歯、歯のはえかわりの遅延が起きていました。第一大臼歯をのぞいて歯のはえかわりが起きていません。矢印で示したのは埋伏している永久歯です。この患者様の場合は医科での治療は受けていましたが、医師は歯科に関する治療の指摘をせず、また学校健診でも治療を指摘されなかったという大変お気の毒な事がありました。20歳を過ぎて私が治療を開始しました。学校健診をおこなう歯科医は先天性疾患に対する十分な知識が必要です。実際の治療では萌出できる歯は開窓、牽引をおこない可能な限り萌出させました。

見えている歯はすべて永久歯にかわりました。残念なのは上顎骨に関してはわずかな歯しか萌出させられませんでした。骨が柔らかく、強度がありません。そこでオーバーレイデンチャーを制作してもらい萌出した歯にかぶせる事によって咀嚼機能、反対咬合、口もとを改善させました。

埋伏歯は必ず萌出して来るわけではありませんが、かなり高い確率で萌出させる事ができます。あきらめる前に是非、ご相談ください。

福井 只美
 

このブログの執筆者
福井 只美医師(日本矯正歯科学会指導医・認定医)

リンガルブラケットについては長年の経験があり、
自身で開発したダブルワイヤーテクニックを用いた治療を得意としております。                
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