- リンガルブラケットによる矯正治療以外はおこなわない矯正歯科医院へ
- リンガルブラケットによる矯正治療の歴史と私たちの歩み
- 書籍
- 論文:国際的なジャーナルに発表した。リンガルブラケットによる症例報告
- 深い噛み合わせの上顎前突をリンガルブラケットを用いて矯正治療しました。
- ワイヤーを2本同時に使う事によって治療の幅を広げました。ダブルアーチワイヤーテクニックと名付けました。今では日常的に使用しています。
- 幼少期の交通事故で下顎骨を骨折したために数歯にわたって歯根が未完成でした。そこで反対側の小臼歯を移植した症例です。リンガルブラケットで治療しました。アメリカ矯正歯科学会誌に掲載されました。
- 反対咬合(下顎前突)をリンガルブラケットで矯正治療しました。イギリスの矯正歯科学会誌に掲載されました。
- リンガルブラケットで矯正治療をおこなった外科矯正症例です。固定のために当時は整形外科で使用するスクリュウ固定に使用しました。アメリカ矯正歯科学会誌に掲載されました。
- 海外招待口演
- Invisible treatment(見えない治療)に関する思い
リンガルブラケットによる矯正治療以外はおこなわない矯正歯科医院へ
学際的な治療を目指します。
最近、医科の分野では細分化が進んでいます。例えば整形外科では手の整形、肩、脊髄など部位によって専門が分かれるようになってきました。医療が高度化して、さらに患者様のニーズに答える事を考えるとこれは必然的な事です。では歯科ではどうでしょうか?少し遅れてこの傾向が起きてきています。例えば口腔外科です。口腔外科医として長年研鑽を積んだ先生が開業するようになってきました。親知らずなどの抜歯を今までなら地域の大病院の歯科口腔外科に依頼していましたが、診療時間が限られている。あるいは行ってもその日に抜歯してくれないなど利便性に問題がありました。最近になってそこに長年の在籍経験のある歯科医が開業するようになってきました。土曜日、日曜日にも対応してくれます。そういった歯科医院と連携する事が可能になってきました。
アイ矯正歯科クリニックの院長、副院長、2人の歯科医師としてのキャリアの始まりは大学病院でのリンガルブラケットとの出会いから始まります。大変運のよい事に矯正歯科医を選択した約35年前(1985年)に常にリンガルブラケットをおこなえる環境にいました。そして長年研鑽を積みました。そこで今回、リンガルブラケット専門、それ以外の一般的な矯正治療を受け付けない歯科医院として進化する事にしました。こんな歯科医院が一つぐらいあってもよいと思います。また患者様に間違いなく良質な裏側矯正を提供します。
数名の専門家が得意分野に分かれて一人の患者様を治療する事を学際的治療と言います。アイ矯正はこれを目指します。一人の先生がすべてできるのが理想ですが、そこに高度な治療を求めるのは無理があります。
リンガルブラケットによる矯正治療の歴史と私たちの歩み
1971年に歯にブラケットを装着する接着法を東京医科歯科大の三浦不二夫教授らが発表しました。これは革命的な事です。それまでは歯に金属の輪をはめてブラケットをその輪に電気ろう着して治療をおこなっていました。
”Direct Bonding System” technique at the Congress of American Association for Orthodontics
この時はプラスティックブラケットを歯に接着しておこなっていました。接着材との相性がよいからです。その後金属製のブラケットが出現します。
数年後に藤田欣也先生が歯の裏側(舌側)にブラケットを装着すると新しい試みをおこないました。装置が見えるから矯正治療をあきらめていた人には大変な朗報でした。当時この方法は大変なニュースとなりました。この頃私も新聞記事で知りました。最初の論文は1978年”Development of Lingual Bracket Technique”です。まさに“リンガルブラケット技術の開発” 1979年、1982年にアメリカ矯正歯科学科誌に論文が掲載され世界に紹介された事がリンガルブラケットの起源になります。この時点で治療法は確立されています。
その数年後に歯科医になった私は矯正科に入局し、リンガルブラケット治療に触れる機会を得ました。リンガルブラケットをおこなって治療のできる鶴田正彦先生に出会い、師事します。すべてはここから始まります。その後、以下に私たちがリンガルブラケットを用いて治療し国際誌に掲載されたものを掲載します。信頼して頂けると思います。
書籍
美容の国、韓国の出版会社から2020年に出版しました。リンガルブラケットに関する本です。治療例を多数掲載しました。私の恩師、藤田欣也先生監修、鶴田正彦先生共著です。リンガルブラケットに関する貴重な資料を藤田先生からお借りして掲載する事ができました。
The philosophy and art of the lingual bracket treatment.
2020 by Dentos. Co. Ltd. ISBN 979-11-956426-1-8
2015年に韓国ソウルでおこなわれました世界舌側矯正歯科学会に招待口演をする機会がありました。その旅に恩師鶴田先生とご一緒しました。その時に本を執筆してはどうか?という話をしました。その後、毎週1度神奈川県民センターに机をお借りして作業をおこないました。鶴田先生の意向で最初から英語で書きました。学術的な物は英語というのは常識です。日本の歯科関係の出版会社では英語の本は対応できないとの事でした。そこで韓国のDentos社に資料を送り審査して頂いた結果、出版する事ができました。もちろんすべての出版費用はDentos社が負担してくれました。出版会社がすぐに決まりとても安堵した事を今でもよく覚えいます。担当者もとても親切な対応してくださいました。この出版会社のCEOは韓国の国立大学歯学部の矯正歯科の現役教授でした。これにも驚きました。日本ではおそらく認められていないと思います。信頼のできる会社でした。
論文:国際的なジャーナルに発表した。リンガルブラケットによる症例報告
深い噛み合わせの上顎前突をリンガルブラケットを用いて矯正治療しました。
タイトル:
Invisible treatment of a severe Class II deep overbite with narrow mandibular dental arch with multilingual bracket appliances. J World Fed Orthod 2017; 6: 69-79.
ワイヤーを2本同時に使う事によって治療の幅を広げました。ダブルアーチワイヤーテクニックと名付けました。今では日常的に使用しています。
タイトル:
Invisible treatment of a severe Class I crowding with multilingual bracket system using new double mushroom archwire technique in a young adult female patient. J World Fed Orthod. 2015; 4: 151-161.
幼少期の交通事故で下顎骨を骨折したために数歯にわたって歯根が未完成でした。そこで反対側の小臼歯を移植した症例です。リンガルブラケットで治療しました。アメリカ矯正歯科学会誌に掲載されました。
タイトル:
Treatment of a horizontal open bite with an invisible multiloop appliance in a girl with tooth trauma. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2009; 136(4): 596-606.
反対咬合(下顎前突)をリンガルブラケットで矯正治療しました。イギリスの矯正歯科学会誌に掲載されました。
タイトル
Invisible treatment of a Class III female adult patient with severe crowding and cross-bite. Journal of Orthodontics. 29(4). 267-275, 2002
リンガルブラケットで矯正治療をおこなった外科矯正症例です。固定のために当時は整形外科で使用するスクリュウ固定に使用しました。アメリカ矯正歯科学会誌に掲載されました。
タイトル:
Multilingual bracket treatment combined with orthognathic surgery in a skeletal Class III patinet with facial asymmetry. American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics Vol. 115. No.6. 1999; 654-9.
アメリカ矯正歯科学科誌に掲載される事はとても光栄な事です。矯正歯科界では世界最高峰になります。
海外招待口演
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Fukui T. “Invisible treatment: Multilingual Bracket Treatment Fujita Method” Beijing, China. 2018. 12.1-3.
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Fukui T. “Double Archwire Technique for the lingual bracket treatment with Fujita Lingual Bracket”. key note speaker, the 6th Scientific Congress of World Society of Lingual Orthodontics. Coex, Seoul, Korea. 2015.7.3-5.
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Fukui T “A new double wire technique in the Fujita method” key note speaker, the 4th Congress of Korean Association of Lingual Orthodontists, Catholic University of Korea, Seoul, Korea (KASLO). 2011.4.17.
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Fukui T. Invisible Treatment: Lingual Orthodontics Fujita Method.中日友好医院開院20周年記念, 北京大学歯学部矯正学講座主催, 北京, 中国.10.25-27.
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Fukui T. Invisible Treatment: Lingual Orthodontics Fujita Method. University of Illinois at Chicago, Department of Orthodontics. Chicago, USA. 2003.7.8.
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Fukui T, 1. Vertical control. 2. Open bite case. 3. Telescopic occlusion case II. 4. Lingual bracket. 5. Skeletal Class III case. The UDF (Ulsan Dental Forum) International Dental Seminar, Ulsan, Korea. 2000.7.7.
アメリカのシカゴに裏側から矯正治療をする歯科医はいませんでした。アメリカは幼少期に矯正治療を行います。そのためだと思いました。中国はこれからの国です。リンガルブラケットの技術を輸出してほしいと思っているはずです。最初に北京大学で口演した時と最近の2018年に口演した時では街はかなり違っていました。発展していましたが光化学スモッグがすごくてマスクなしでは外出できないほどでした。
Invisible treatment(見えない治療)に関する思い
“矯正器具が見えなければ矯正治療がしたい”こんな声をよく聞きました。その一つの答えがリンガルブラケットによる治療だと思います。約35年間の治療とその歩み(業績)を記載して来ました。その結果がリンガルブラケット専門で治療しようという答えに達しました。“表側で治療できる症例は裏側からも治療可能です” まずは初診カウンセリングをご予約ください。実際に治療を担当する院長あるいは副院長が症例を見て頂きながら説明させて頂きます。アイ矯正は大きな歯科医院ではありません。必ず担当医制です。期待を裏切らない見えない矯正治療を提供できます。
マウスピース矯正の流行
目立たないという点でリンガルブラケットと同じ部類だと思われている方もいるかもしれません。しかし、実際には大きく違います。リンガルブラケットは歯の表面に装置はありません。マウスピースはあります。さらに通常のブラケットを使用した時と同じクオリティはありません。私は簡単な症例、歯を抜歯する必要のない少しのデコボコなどはマウスピース様装置で十分だと思います。その選別が重要です。また矯正歯科医でなくても治療はおこなえます。それは実際には歯科医が装置の制作に関与しないからです。どこでも受けられる治療にはアイ矯正は関与しません。それはアイ矯正に来て行わなくてもよいからです。リンガルブラケットを求めて難症例の患者様と対峙して、しっかりと治療する事を私たちは選択しました。キャリアの許す限り、難しい症例と向き合います。
公益社団法人日本矯正歯科学会にマウスピース型装置に関する見解がまとめられています。この記事を読まれれば私が説明し記載するよりも明らかです。
www.jos.gr.jp/asset/info_20190605-1.pd