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ドクターズブログ

外科矯正治療とは?リンガルブラケットを使用した治療例と論文の紹介

最近、外科矯正という言葉が一般的に聞かれるようになってきました。アイ矯正歯科クリニックにも相談に来られる患者様がいます。手術に対する敷居が下がってきた感じを受けます。しかし、外科矯正はお顔が大きく変化する重要な治療です。じっくりお考えになる事をお勧めします。

美容整形?それとも外科矯正

歯科医がおこなう外科矯正と美容整形外科医はおこなう美容とは似ていますが、違います。それは歯科医がおこなう外科矯正はお口の中のかみ合わせから考えて行きます。これに対して美容はお顔から考えます。美容整形外科医がおこなうのはやはりお顔に重点がおかれていると思います。しかし、最終的には似たような結果になります。歯科の外科矯正もお顔立ちに大きな変化が起きます。

健康保険の適応になります。ただし、表側からだけです。

表側から金属製のブラケットを使用する矯正治療で外科手術を含む場合は健康保険の適応になります。あくまでもこれは外科手術をしないと噛めない、咀嚼できないなどの健康面での障害があるために認められているものです。お顔立ちを治すわけではありません。他には症候群のある場合も同様です。ダウン症、鎖骨頭蓋異形成症、口蓋裂などがこれに入ります。アイ矯正歯科クリニックも育成・更生医療機関に認定されています。どの歯科医院でも保険の適応になるわけではありません。この認定がないと保険の適応にはなりません。小さなお子様の矯正治療をお考えでしたら育成・更生医療機関に行かれる事をお勧めします。それは成長発育によっては外科矯正が必要になる可能性があるからです。転院などの面倒がありません。

リンガルブラケットを使用した外科矯正は保険の適応にはなりません。

リンガルブラケットは審美的な装置です。さらに矯正治療の中でもっとも高額な装置になります。この治療は保険の適応になりません。従って手術も保険から外されます。これは混合診療という事を国が禁止しているためです。混合診療は同じ疾患で保険治療と保険外の治療を混ぜてはいけないというものです。従って大変高額な治療になります。しかしアイ矯正歯科クリニックでは年間数例ですがリンガルブラケット+外科手術ということがあります。入院するまでは表側に装置をつける事はありません。

 

外科矯正の治療の流れについて説明します。

患者様の問診、主訴、ご希望は重要です

患者様のご希望、“どうなりたいか?”は重要な事です。患者様に手術の事、歯を抜く可能性がある事、入院期間などすべての事を最初にお話します。途中で手術は嫌だということになると治療を中断しなければならなくなる事もあります。また過剰な期待を抱いている場合もあります。可能なのか、不可能なのか?を説明しておく必要があります。

矯正治療前の精密検査

矯正治療をはじめる前の精密検査を参照してください。外科矯正の場合、実際に手術する口腔外科医のカウンセリングも受けて頂きます。矯正治療も同じですが、口腔外科医は特にその腕によって差が出ます。アイ矯正歯科クリニックでは過去に色々な先生とコラボレーションした結果、もっとも信頼のおける口腔外科医を選んでいます。ご安心ください。

お顔の写真

アイ矯正歯科クリニックでは、お顔は5方向撮影します。これは左右で違いがある場合があります。下顎前突を治したいという患者様が多いですが、上顎前突(出っ歯)で下の顎を前に出したいという患者様もいます。あるいは開咬もあります。

お口の中の写真

外科矯正の患者様の口腔内写真です。一見すると前歯はわずかな反対咬合だと思われるかもしれません。ところが下顎前歯は内側に傾斜しています。そして上の前歯もわずかですが外側に傾斜しています。これをデンタルコンペンセーション(Dental compensation)と呼びます。日本語には訳しにくい言葉ですが、“歯による代償”と直訳できます。これは骨格の不調和を前歯の角度で代償する。補っている事を意味しています。下の前歯をかなり内側に傾斜しています。これだとこれ以上は内側に傾斜させて反対咬合を治療する事はできません。前歯の角度は外科矯正の適応か?どうか?を判断するのに重要です。

レントゲン写真

セファログラム(側面頭部エックス線規格写真)

同じ患者様の側面頭部エックス線写真とそのトレースです。上下前歯の傾斜だけですとそれほど大きな不調和ではありません。しかし、上下の顎骨の位置関係を見ていただくと、前歯の傾斜角度を変化させるだけでは反対咬合が治療できない事がわかると思います。さらに歯の角度だけですと横顔には治療結果が反映されません。横顔は改善しません。

P-A(正面頭部エックス線規格写真)

正面頭部エックス線規格写真です。正面写真から左右非対称です。どなたも完全に対称の人はいません。ずれている量によります。

他にも顎の関節のレントゲン写真、歯のレントゲン写真をアイ矯正歯科では撮影します。

ペーパーサージェリー

顎骨の移動量を予測するものです。紙上で予測するのでペーパーサージェリーと呼ばれます。手術による移動量は重要です。約10㎜前後の移動量を想定しています。それ以下だと手術による実感をえられないかもしれません。

予測模型(セットアップモデル)

A模型(最初の模型)

治療予測模型(セットアップモデル)

予測模型は歯の部分を切り取り手術前の矯正治療終了時を再現した模型です。赤いのは歯科用のワックスです。線が引かれているのは歯を切り取る前に線を引いておいて、歯を動かした量を視覚化するものです。この状態まで治療できたら手術をします。鉛筆で引いた線のために模型が黒っぽくなってしまいます。これは技工士が作るのではなく術者である歯科医が考えながら作るものです。この時にペーパーサージェリーから得られた顎骨の手術による移動量と一致させる必要があります。

口腔外科医の診断

これら資料をもとに実際に手術をおこなう口腔外科医と話し合います。矯正歯科医だけの判断では外科矯正は成功しません。患者様と口腔外科医と話し合っていただきます。

手術後のお顔です

とてもきれいな正面と横顔になりました。治療は成功しました。

お口の中もしっかりとしたかみ合わせになりました。

 

アイ矯正歯科クリニックがおこなっているリンガルブラケットと外科手術は、もっとも高度な治療になります。また保険の適応になりません。しかし、それだけの価値はあると思います。

 

Cese Report

Fukui T, et. al.  Multilingual bracket treatment combined with orthognathic surgery in a skeletal class III patient with facial asymmetry. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 1999; 115(6): 654-659. www.ajodo.org/

リンガルブラケットで治療した外科矯正患者様の報告です。アメリカ矯正歯科学会誌に掲載されました。

 

治療例No.188 外科矯正 開咬 下顎前突

 

外科矯正は下顎前突(反対咬合)だけではありません。上顎前突の外科矯正もあります。上顎前突の外科矯正は下顎骨を前に出す事になります。日本人は下顎後退によって上顎前突になっている事が多いです。下顎骨の後退を気にされている場合、これは手術でないと改善できません。

治療例No.212 上顎前突 外科矯正 下顎骨の後退

福井 只美
 

このブログの執筆者
福井 只美医師(日本矯正歯科学会指導医・認定医)

リンガルブラケットについては長年の経験があり、
自身で開発したダブルワイヤーテクニックを用いた治療を得意としております。                
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