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ドクターズブログ

セカンドオピニオン ハーフリンガル症例 裏側矯正歯科医院の選び方

セカンドオピニオン

矯正治療は一生に一度の治療です。悩まれたら、迷ったら、セカンドオピニオンをお考え下さい。最近特に注意して頂きたいのは成人なら部分矯正、マウスピース矯正、リンガルブラケット、小児お子様の矯正の場合は床矯正、小児矯正、マウスピース矯正です。お子様の時にしか通用しない矯正治療をおこなたった結果、“永久歯になったら、何の意味もなかった”という事です。これらの方法は術者である歯科医にとっては容易な方法です。特別なトレーニングが要りません。装置制作は業者任せです。リーマンショック以後の歯科不況で矯正をもともとはおこなっていなかった一般歯科の歯科医をターゲットにした商売とも言えます。安易な治療の誘惑です。患者様にとっては余計な費用の出費となります。今回ここでご紹介する症例はハーフリンガル(コンビネーション)治療によって噛めなくなったという事を主訴に来院されました。これは矯正専門歯科医の治療です。正直に言えばひどい状態でした。“どこもかめない”。拝見した私たちもため息と唸ってしまいました。これは酷い。明らかにリンガルブラケットの経験のない未熟な歯科医が強引に歯を抜かずに治療した結果でした。私は“何とかしないと可哀そうだ”と思いました。表側ができる。そんな程度の矯正歯科医に裏側からの治療はできません。不可能です。安易に手を出してほしくはありません。

ハーフリンガルで治療中でした。この状態で来院されました。

上下の歯列の写真です。見て頂くとわかりますが、アーチワイヤーは売られているままの既成品のワイヤーです。ニッケルチタンという超弾性ワイヤーが何の調節もなくブラケットにセットされていました。そのために上顎の歯列弓は拡大していて下顎と合っていませんでした。通常はリンガルブラケットの場合はアーチワイヤーに細かく曲げが入れられているものです。これは売られているままです。これでは治るわけありません。こんな事で治るのなら苦労しません。患者様の話では“毎回治療時間は15分程度、ほとんどは衛生士さんがワイヤーをしめなおして終わりです” 先生はチラッと見るだけだそうです。私には理解できませんでした。そんならくな仕事ではありません。たくさん患者様がいるのでしょうか?その方達も大丈夫かな?と余計な心配をしてしまいました。

 

もう一つ問題なのはブラケットが歯の大きさに比べて小さい事です。幅がありません。ブラケットが小さいと舌感がよいという人もいますが、私はそう思っていません。ブラケットが小さいとその間のワイヤーが露出してしまいます。ワイヤーは舌感が悪いと思います。ブラケットの幅が狭いと当然、歯のコントロール、制御する能力は落ちます。抜歯にしなかった理由はこれもあると思います。歯にとって適切な大きさがブラケットには必要です。

シュミレーション通りにはいかない

おそらく歯型をとって石膏模型を作り、その模型を技工所、あるいは会社に送り、最終的な歯並びをシュミレーションします。それを患者様に見せてその通りになります。これはマウスピース型の装置での治療と同じです。確かに治療の最後の段階からフィードバックしているのだから大丈夫だと説得力はあります。しかし、その通りにはなりません。簡単な症例だけです。シュミレーションした人は患者様に会った事もないのです。画像処理をしただけです。治療には実際に対面し得られる情報が重要です。シュミレーションからブラケットの接着位置を決め、その位置にブラケットが接着できるようにレジン(樹脂)でガイドが作られます。それが送られて来て衛生士、あるいは歯科医が接着するだけ。これをインダイレクト法(間接法)と言います。リンガルブラケットに不慣れな矯正歯科医はこの方法でないとブラケットを正確に接着できません。さらに既製品の超弾性ワイヤーを装着する。交換していけば想定した歯並びになる。しかし結果がこの患者様のお口の中です。簡単です。だれでもできます。実際にこれで治療が完成する患者様もいるとは思います?すごく簡単な症例だけです。これはマウスピース矯正も同じシステムです。シュミレーションした通り順番にマウスピースを装着していく。その通りになるはずだった。しかし、ならなかった。ここで大きな問題があります。実際に治療をおこなった歯科医にそれを修正する技術はありません。そんな技術があれば高いお金を業者にお支払いして、このシステムを購入しません。治療が失敗すれば治す事はできません。

 

よくテレビコマーシャルなどで“プロの味”とか宣伝しています。購入された方はそれほどの期待はしていないはずです。“プロの味ではなかった”と怒る人も少ないでしょう。それなりに美味しかった。それで満足です。矯正治療はそうはいきません。“それなりに治りました。プロの仕事に近いでしょ”と言われたら満足しないでしょう。

 

緑のサークルで囲んである歯はインプラントです。インプラントにブラケットを装着していないのは理解できます。

 

噛み合わせを見て頂きます。正面から撮影した状態です。

2分ほどで硬化する粘土のようなものを噛んで頂きました。噛んでいない事がこれでよくわかると思います。上下の歯が当たっているのは1か所だけでした。しかも1点です。歯列弓の幅がまったく合っていませんでした。これは大変お気の毒な状態でした。どこで物を食べればよいのでしょう。

横から見たところです。噛んでいません。この症例は歯を抜かずに矯正治療しています。診断は誤っています。現状は出っ歯です。従って少なくとも上顎の小臼歯を抜歯してそのスペースを使って前歯を内側に移動し、歯列弓を小さく縮小する必要があります。おそらくリンガルブラケットを使用して歯を抜いて治療する自信がなかったのでしょう。マウスピース型の装置でも非抜歯というのがよくあります。歯を削って口もとを後退させる。期待したほどは下がりません。使用する装置の都合によって診断が変わって、非抜歯になる事はありません。

患者様に現状を説明させて頂きました。上顎の第一小臼歯を抜歯させて頂きました。そして上下リンガルブラケットに変更しました。まだ治療途中です。ハーフリンガルブラケットはアイ矯正歯科ではおこなっていません。私が感じているのはハーフリンガルを勧めるのはリンガルブラケットに慣れていない。経験のない矯正歯科医が多いように感じます。装置は見えるし、私からすれば中途半端です。実は下顎前歯は小さな歯です。これを裏側からコントロールするのは難しいので表側にさせてほしい。そこから始まったようです。実際にこの患者様も上下リンガルブラケットを希望されたが歯科医院でハーフリンガルを勧められたようです。初めてのリンガルブラケットだったようです。患者様にはわかりません。矯正専門歯科医院だから大丈夫だと思うのは当然の事です。

 

今では患者様は噛めるようになったと大変感謝してくれています。しかし、2度目の矯正治療はお気の毒です。費用と時間が2倍かかりました。先日、ついにリンガルブラケットをはずす日が来ました。長文のお手紙と過分なお礼まで頂きました。恐縮です。そこには今まで話せなかった前医院での出来事、感謝の気持ちが綴られていました。また受付、衛生士それぞれに感謝の手紙とお礼の品を頂きました。歯科医としてお役に立てたようです。明日の活力にさせて頂きます。大変ありがとうございました。

裏側矯正(リンガルブラケット)を得意にしている医院選びのコツ

・矯正専門歯科医院である事

これは当然の事です。一般的な矯正治療のさらに高度なスキルが必要になります。一般歯科で虫歯の治療を主におこなっている歯科医院で治療ができるとは思えません。たとえ矯正歯科学会の認定医も持っていると言っても一般歯科と矯正専門歯科医院では違います。矯正治療に自信がなければそれだけで開業するような事はしません。初診カウンセリング時に裏側から治した治療例を患者様と一緒に見ながら解説することができる。もしそれをしないようでしたらその歯科医院では裏側矯正をおこなっていないと思ってください。最近になって“裏側矯正は可能だが治療期間がかかる”と言った嘘の説明をする矯正専門医院があります。治療速度は変わりません。裏側から治療ができないので表側の治療に誘導しようとしています。悪質です。

・症例が掲載されていない。わずかなケースだけの歯科医院は実際にはおこなっていない。

ホームページを見ると裏側矯正はどの矯正専門歯科医院でも掲載されています。悪い世の中と言えばそうなると思います。“できもしない広告はしないでほしい”と思います。私どものホームページにマウスピース型の矯正治療に関する掲載はありません。治療効果に疑問を持っているからです。自分では勧められない治療です。裏側の矯正治療を求めてせっかく来院しても “あなたの歯並びでは裏側に装置がつかない”あるいは“よく治らない。装置を噛んでしまう”とネガティブな説明をされてあきらめるように誘導します。

・待合室にはお子様ばかり、子供の矯正治療に力を入れている

リンガルブラケットが治療対象にしている患者様は主に成人の方です。従って待合室でお子様に会うと言うのは稀な事です。小児を扱う矯正歯科医院と実際には分けるべきではないかと思います。私どもの歯科医院にも小児の患者様はいます。もちろん治療する事は可能です。それを得意にしている歯科医にとって成人矯正、まさに成人矯正の中の成人矯正であるリンガルブラケットによる治療は苦手なはずです。待合室に患者様どうしが重なるという事はありません。お待たせる事はありません。必要な時間をお取りして拝見しています。

・一般的な矯正歯科専門医院とリンガルブラケットを使用した裏側(舌側、内側)矯正の歯科医院は本来は分けるべきものです。

リンガルブラケットはどこで研鑽を積んだか?が肝心です。誰に教えて頂いたか?“自分で独学で学びました”なんて事はありません。天才ですか?とお聞きしたくなります。矯正治療は徒弟制度のようなものがあります。何年もかかる矯正治療を習得するのに数か月なんて事はありません。何年も必要になります。リンガルブラケットができる先生がいなければ成り立ちません。大部分の大学病院でおこなっていないのはそのためです。大学でリンガルブラケットのできる教官がいない事、研修期間が2,3年では短すぎてできるようにはなりません。統計を取ったわけではありませんが、きちっとした裏側からの矯正治療のできる矯正歯科医は矯正専門歯科医の1%に満たないという事を言う歯科医もいます。

選んではいけない歯科医院

マウスピース系の矯正装置だけの歯科医院は避ける

マウスピースで歯を動かす、矯正治療をするというのが流行っています。私にとっては夢のような話です。しかし、そんな簡単な装置で治るでしょうか?私が解答者をしているネットの質問コーナーにも毎日のように質問があります。公益社団法人日本矯正歯科学会のホームページにもマウスピース様装置に関する見解というのが1ページ目にあります。正直に申しあげてトラブルメーカーだからでしょう。マウスピースでどうしても治療したければリンガルブラケットもおこなっている矯正専門歯科医院を選んでください。マウスピース矯正を選ぶ理由に装置が目立たずに治療できるというのがあります。もしマウスピースで治らなければリンガルブラケットで治すという選択肢があります。表側に通常の白いブラケットは装着するのは嫌なはずです。ここで注意ですがリンガルブラケットでの治療が得意な歯科医院でマウスピース治療をおこなっているか?かなり疑問です。きちっとした修行を積んだ歯科医が安易な装置に手を出すと言うのは余程の事がないとしないはずです。因みにアイ矯正ではおこなっていません。ホームページに掲載していません。リンガルブラケットで治療できるのにトラブルの多い装置を選択しません。私は患者様とのトラブルは大変なストレスになるので可能なら避けたいです。お互いに不幸です。

リンガルブラケット(裏側矯正、舌側矯正)の治療例を見せてくれない

実際にはリンガルブラケットを扱っていない可能性が高いです。治療ができるのなら自慢ではありませんが“こんな症例も治しました”と言った武勇伝があってもよいですね。それがない。あまりお勧めしない。治らない。時間がかかると言った言い訳を並べる歯科医院は避けてください。期待しない方が無難です。

部分矯正、床矯正をメインにしている一般歯科医院

部分矯正というのは前歯だけ、臼歯部だけの一部にしか装置をつけない事を言います。患者様の中で勘違いされている方がいます。“前歯を治したい”これは部分矯正ではないのか? これは部分矯正ではありません。何に対して動かすかという所が部分矯正にはありません。前歯を内側にさげたいのに前歯だけにしか装置がついてない。これでは内側に牽引する事はできません。臼歯部に装置が必要です。部分矯正という言葉を間違ってとらえていると大変な失敗をします。部分矯正は一般歯科の歯科医が最近特におこなっているようです。全体的な矯正治療をおこなうだけのスキルはありません。部分矯正しかできません。もし満足いかない治療だとしても全体的な本格的な矯正治療の勉強をしていないので解決する事ができません。床矯正についても同様です。床矯正と言うのは小児でよく使われる取り外しのできる装置の事です。成人にはむきません。歯を前後に動かす事しかできません。ブラケットとワイヤーによる治療は歯を三次元的に移動させる事が可能です。床矯正も歯型とって業者に発注するだけなので歯科医に特別なスキルは要りません。矯正歯科医になるには長年の教育と経験が必要です。そういった事を避ける、省く事はできません。

 

以上、私の経験と私見も含めて記載させて頂きました。毎日、リンガルブラケットを扱っている歯科医にとってはリンガルブラケットの治療は普通の治療です。またスタッフも慣れています。たまに裏側をやるというのは逆に特別な治療です。スタッフも慣れていません。それは失敗につながる事だと思います。最近になって医科の病院でもある特定の疾患だけを扱う病院があります。例えば副鼻腔炎です。耳鼻咽喉科ではなく副鼻腔炎の手術だけをおこなっている医院があります。毎日手術をしています。医師もスタッフもそれに特化しています。安心です。少し料金は高いかもしれません。それは自信だと思てっください。医院選びの参考にして頂けると幸いです。

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