CONTENTS
50代でも矯正治療は遅くない?リスクは?後悔しないためのポイント
矯正治療は遅くない?
現在50代の方は1970年生以後に生まれた方です。その頃やっと歯にブラケットを接着する接着材が開発された頃です。それまでは金属のリングをすべての歯に装着し、それにブラケットを電気ろう着していました。歯に直接接着できる事で飛躍的に進歩しました。しかし、矯正歯科医は都心にごくわずかいただけでした。地方に至っては矯正歯科医がいないという状態です。実際に矯正治療に触れる事すらできなかった世代になります。今から矯正治療ができるだろうか?その答えはもちろん“Yes”です。あきらめるのはまだ早いという事です。歯は何歳になっても移動できます。
リスクは?
矯正治療によるリスクはないと考えています。矯正治療全体のリスクとしては強い矯正力を加えた事による歯根吸収(歯根が短くなる)というものです。しかし、これは50代に特定したものではありません。20代、30代の方も同じです。強い力を加えない。これは矯正歯科医なら常識です。では考えられる障害は何か?ここでそれを列挙していきたいです。
1)すでに歯を失っている。
何らかの事情で歯を抜かれている。ブリッジや入れ歯が装着されている。といったものです。すでに何年も前に抜歯された部分を矯正治療で閉鎖する事は難しいです。それは骨が吸収されて細くなっている。抜歯された部分の骨に硬い皮質骨が形成されているためです。そのために歯の移動は困難になります。下顎骨にその傾向が強く見られます。ブリッジなどはそのままにして矯正治療をおこないます。ご希望があればインプラントにする。抜けた場所の閉鎖が可能な場合もあります。
2)前歯がセラミックやジルコニアなどの被せ物がある。
最近、特に臼歯部まで白い詰め物に替えられている方を見かけるようになりました。保険外のセラミックやジルコニアは何年も変色せず光沢があります。これは外界からの刺激を受けない材質で作られています。そのために接着材でブラケットを接着する事が困難です。矯正治療が不可能か?というとそうではありません。方法はあります。歯の移動に重要ななのは歯根膜です。歯根膜は歯根の周囲をおおっている靭帯組織です。その組織が健全であればいわゆる“差し歯”があっても治療は可能です。
3)事故や外傷の既往がある。
交通事故にあって顎骨が折れた。ぶつけて歯が脱落し再植した。など外傷の経験による障害です。前記したように歯根膜の中にある細胞が歯の移動には重要な役目を果たします。破骨細胞や骨芽細胞です。しかし、外傷により健全な歯根膜が失われ、歯と骨が直接触れるようになると骨は歯根を外部から吸収しはじめます。場合によっては歯根がなくなってしまうという事も起きます。これを骨性癒着、アンキローシスといいます。こうなった歯は将来脱落してしまいます。そこでその歯を抜歯して治療する計画を立てます。従って治療は可能です。
4)歯周病に罹患している
う蝕(虫歯)が原因で歯を失うよりも歯周病で失う機会が増えています。歯周病の患者様の矯正治療はできないか?そんな事はありません。歯周病はそれまでの歯並びが影響している場合があります。口腔環境をかえる事で変化する事があります。また歯周病専門医と協調して治療する事も重要です。
加齢による変化は矯正治療に影響する?
特にこの年代の女性にみられる現象ですが、唾液の分泌量が減少している事があります。これは歯の移動には関係ありません。
様々な歯科治療による口腔環境の状態が障害にはなります。しかし、克服できないものではありません。不正咬合のままそのまま過ごす事の方が将来のリスクは大きいです。例えばデコボコした状態で歯ブラシが触れられない所がある。出っ歯で口を閉じずらいために前歯が常に乾燥した状態になる。これは歯周病やう蝕になりやすい環境です。
後悔しないためのポイント
現在はう蝕が減り一般歯科医の患者数が減少しています。そこで矯正治療でその傾いた生計を改善させようとするのは当然の事です。これとともに増加したのが “矯正歯科 歯科”という表記です。これは以前は一般歯科と名乗っていました。そういった歯科医院の救世主がマウスピース矯正です。これは特別なスキルが要らない。トレーニングが要らない。虫歯治療をおこなっていた歯科医にとっては朗報です。そこで巷に“矯正歯科”という看板が増えました。しかし、私はお勧めしません。ワイヤーとブラケットを使用した矯正治療には10年を超える下積み、訓練が必要です。誰もができる治療ではなく専門性が高いです。日本矯正歯科学会でもマウスピースによる矯正治療は極簡単なものに限ると記載されています。
50代からの矯正治療で後悔しないために
カウンセリングなどをしっかり受け、ご自身にあった治療法を見つける
学童と違い、50代からの矯正治療はその費用をご自身で負担されます。今までの人生経験が生きてくる時でもあります。本物を見分ける目を持たれています。初診カウンセリングを専門歯科医院で数軒は受けてみてください。すぐに決める必要はありません。
選ぶポイント
歯科医院の雰囲気、周りの環境は重要です。
これから長いお付き合いになる歯科医院です。感じられる雰囲気は重要です。待合室、お手洗いなどもチェックする事をお勧めします。待合室に患者様が多く待っているというのは、予約制がうまくいっていない証拠でもあります。適正な人数の患者様を扱っているか?の指標になります。また古い雑居ビルなどに入っている場合は歯科医院の移転などがあるかもしれません。あまり華美で派手なのも避けましょう。
・お子様が多いのか?成人の患者様が多いのか?も重要です。
成人矯正は難易度が高いからです。小児歯科とは違います。
・一人の患者様にどれぐらい治療時間を取っているのか?
少人数の歯科医がたくさんのスタッフを使っている歯科医院は避けましょう。歯科医が患者様に直接治療する時間が短い可能性があります。歯科医の数と同数のスタッフならよいですが、歯科医に対して衛生士、助手が多いというのは、スタッフが治療をかなり補助しないとできない事を意味しています。先生がチラッとお口の中を診て、“後はお願いね”と言った感じだと困ります。
・歯科医の質と経験年数、担当医制なのか?
最後まで同じ歯科医に責任をもって治療してほしいですね。担当医がかわると微妙に違いが出てくるものです。担当医制を選びましょう。
アイ矯正の初診カウンセリングに関して記載します。
まずは治療椅子(ユニット)でお口の中を院長、副院長で拝見します。二人とも同じ経歴とレベルです。お口の中、治したい事など希望をお聞きします。お口の中を確認します。その後は院長室(個室)に移動し、話しやすい環境でお聞きします。具体的な治療例をお見せしながら、どのような治療を行えばよいかという事を説明させて頂きます。ここまでで約30分を要します。患者様からの質問があればさらに延長する事もあります。矯正治療に関する事なら何でもお答えできます。それだけの経験があります。費用は3300円です。アイ矯正では無料カウンセリングはおこなっていません。それはその時間の費用を他の患者様が負担する事になると考えるからです。
リンガルブラケット舌側矯正(裏側矯正)の利点、欠点について特に説明させて頂いています。
50代は働き盛りの年齢になります。職場での地位、責任も高い方が多いはずです。どうしても装置が見えるのは嫌だという方のためにアイ矯正はリンガルブラケット舌側矯正(裏側矯正)をお勧めしています。実際に成人の患者様に喜ばれています。
装置が見えるのは無理だな。。暗い気持ちになる。
職場で会う人、会う人、すべての人に矯正治療を始めた事を聞かれる。視線を装置に感じるなどのわずらわしさから解放されます。憂鬱ですね。
セカンドオピニオンを利用する
アイ矯正で実際にあった患者様とのやりとりです。
他の歯科医院:これは前記の虫歯の治療もおこなっている歯科医院です。マウスピース様の装置では有名な会社のものが装着されていました。
患者様:デコボコは治ったが出っ歯になった。歯は抜いていません。エナメル質の範囲でかなり削られました。
アイ矯正:歯を抜いていないのなら前歯が後方に移動する事はありません。たとえ歯を少し削合しても効果はありません。
患者様:ですよね!今お金を返してくれと要求しています。
アイ矯正:その歯科医院では検査をして最初の状態の説明はありましたか?
患者様:ありません
専門的な知識もなく矯正治療をおこなった?なぜ?こういった事件が多くなっていると感じました。その矢先に銀座の歯科医院で詐欺まがいな事件がありました。しかし、これも治療がうまくいっていれば問題はここまで大きくならなかったのではないでしょうか?確かに高額ですが銀座という場所を考えるとそうなることでしょう。その報道の中でも“出っ歯”になったというニュースが流れてきました。
もしお近くの歯科医院で矯正治療をお考えなら、最低でも矯正治療だけおこなっている歯科医院で意見を聞くべきです。具体的な治療費が発生する前に確認の意味でもお聞きになるべきです。それから決めても遅くはありません。特に成人矯正は難易度が高いです。
マウスピース様装置以外の治療ができない歯科医院は避ける。
ごく簡単な治療以外に適応できない装置(日本矯正歯科学会ホームページより)です。もし、これで満足のいく結果が得られない場合に、同じ歯科医院でワイヤーとブラケット、リンガルブラケットなどでの治療が可能か?確認してください。
50代からの矯正治療例
治療例① 八重歯、叢生を治したい 59歳 会社経営
お子様たちはご近所の矯正専門歯科医院で治療されました。しかし、自分は見える装置では治療したくないというのがアイ矯正に来られた理由です。
かなり以前に治療された金属冠が装着されています。口もとが出ていました。そこで上下第一小臼歯を抜歯して約2年ほど治療しました。
治療中です。あと少しで装置を外す事ができそうです。
治療評価:前歯が内側に移動した結果、口もとの突出感が軽減しました。
治療例②:58歳女性です。受け口(反対咬合、下顎前突)を気にされての来院でした。
下顎前歯部に空隙があります。上顎前歯に押し出されたためにかなりぐらぐら動揺がありました。この年齢までよく抜けずに頑張ったといった感じを受けました。
非抜歯で治療しました。下顎前歯の動揺もおさまりました。治療には20か月を要しました。非抜歯治療としては長い期間がかかりました。
反対になっていたかみ合わせが変化したら、下顎骨も後ろにさがりました。口もとも変化しました。
まとめ
50代からの矯正治療の相談やセカンドオピニオンはアイ矯正歯科クリニックへ是非いらしてください。このブログを記載する際に調べてみたら思ったよりも50代、60代の患者様が多くいて驚きました。私たちには豊富な治療経験とリンガルブラケット舌側矯正(裏側矯正)の専門的知識があります。あきらめるには早い!です。アンカースクリュウなどは使用していません。ご安心して治療が受けられます。不必要な外科治療は勧めません。最終的に治療するか?しないか?のご判断は患者様ご自身です。