全体的な治療が必要な重篤な状態の患者様です。
歯科恐怖症で治療が受けられなかった
20代の患者様です。歯科恐怖症で怖くて治療する事を拒んできました。そのために歯を失ったり、年齢のわりには、抜かなくてはならない状態の歯が複数ありました。では最初の歯のレントゲン写真をご覧いただきます。
レントゲン検査の結果
・上顎左側第一小臼歯が抜歯されています
・上顎右側第一大臼歯は根だけが残っています。抜歯対象です。
・下顎第一大臼歯が抜歯されています
・下顎左側第二大臼歯は破折しています
・下顎両側第三大臼歯(親知らず)は側方に傾斜して埋伏しています
実際のお口の中を見てください
上顎
すでに抜歯された部分には隣の歯が移動して狭くなっています。根が残っている第一大臼歯は赤く炎症になっています。
下顎
左側第一大臼歯の抜歯部位の骨が痩せて狭くなっています。右側は内側の歯が半分割れています。
その後方に位置する親知らずは横に寝ていてわずかに顔が出ています。
この悪い状態からなるべく全体的によい状態に回復させる必要があります。この患者様は20代後半の女性です。
通常なら第一小臼歯を抜歯して治療するというところです。しかし、すでに上顎左側は第一小臼歯、右側は第一大臼歯、下顎右側は第一大臼歯、左側は第二大臼歯が治療不可能で抜歯となります。
前歯は翼状捻転していて出っ歯(上顎前突)でした。リンガルブラケットで治療開始です。
下顎第三大臼歯(親知らず)を起こして来ています。手前の第二大臼歯が抜歯になってしまいました。こういった場合は親不知を使います。
リンガルブラケット装着時の最後の写真
出っ歯を治すために上顎左側第一小臼歯を抜歯しました。そのために左右対称になっています。下顎の水平に埋伏していた親知らずは起き上がって機能しはじめています。見違えるようになりました。
治療を終えて5年後の現在
今でも歯が全部抜ける夢を見るそうです。だから一生懸命ケアしたいと言っていました。それはとてもよい事です。
現在のレントゲンです
未だに親知らずは少し斜めですが、安定しています。5年前のレントゲンと変化ありません。歯間ブラシの使い方を指導しました。
この患者様はもし矯正治療しなければ歯並びの悪いまま欠損部位にはインプラントが埋入されていたはずです。最低でも3本です。費用を考えても矯正治療の方が安かったと思います。さらに今はすべてがご自分の歯です。
今は美容系の人と接する仕事をされています。歯並びが綺麗だからとてもよかったと言って頂きました。今後もこのままの状態を維持してくれるはずです。
矯正歯科医はなるべく自分の歯で健康的に過ごせる事を考えます。
歯を失ったらなるべく早く矯正歯科専門歯科医院へご相談ください。インプラント、差し歯などの本数が減らせる可能性があります。