Case No.175
出っ歯乱杭歯治療例
女性 20代 東京都大田区
治療例No.184 上顎前突、小臼歯が重なってはえています。
来院時の写真
気になっている点(主訴): 出っ歯
この患者様の横顔のレントゲン写真(セファログラム、側面頭部X線規格写真)を計測した結果、下顎骨の後退による骨格性の上顎前突である事がが判明しました。上下顎骨の位置不正は成人の患者様では根本的には手術以外には改善できません。手術による外科矯正治療は選択肢としてありました。そして治療に入る前のカウンセリングでもその事を説明させて頂きました。患者様はそれを望みませんでした。そこでなんとか矯正治療だけでという事で治療を開始しました。さらに困難だったのは黄色い丸で囲んだ部分です。上顎は右側小臼歯、下顎も右側小臼歯が完全に重なっていました。これだとこの部分の歯を抜いても前歯を内側に移動させる場所を得る事ができません。出っ歯(上顎前突)やでこぼこを治すには歯を移動させるための場所が必要になります。これだと歯を抜いただけでは改善しない事になります。まずは大臼歯を後方に移動させました。その後に小臼歯を抜歯しました。2段構えの大作戦でした。ベストを尽くしました。では最近の状態を見ていだだきます。
治療中の写真
上顎は2本小臼歯を抜歯しました。下顎は重なっていた小臼歯を1本だけ抜きました。上顎の大臼歯を後方に移動しました。その結果、出っ歯もでこぼこも解消しました。あとはもう少し噛ませればリンガルブラケットをはずす事ができます。患者様も難しい治療になる事をよく理解してくださっていました。"先生も大変ですね"とねぎらいの言葉をかけてくださいました。とても協力的な患者様でした。
アイ矯正歯科クリニックではアンカースクリュウ(インプラント)などは使用していません。リンガルブラケット(フジタメソッド)の技術を駆使して治療をおこないました。あともう少しです。患者様の御理解と協力は治療を成功にみちびきます。治療の結果は患者様を満足させ、そして私たちを幸せな気持ちにさせてくれます。有難うございました。
院長 福井の診断ノート
診断名 :
下顎後退による骨格性上顎前突症
日本人の多くの骨格性上顎前突は上顎骨の前突が原因ではありません。実際には下顎骨の後退によるものがほとんどをしめます。しかし、下顎骨には挙上筋(咀嚼筋)、下制筋群が付着しています。そのため下顎骨を手術して前方に出すというのは、反対咬合などで下顎骨を後方に移動させるよりも難しいと言われています。それはこれら強い力のある筋肉群の抵抗にあうからです。この患者様の場合は手術による解決を選択されませんでした。矯正でできるかぎりの治療をおこないました。
抜歯部位 : 上顎両側第一小臼歯、下顎右側第一小臼歯
治療に使用した装置 : リンガルブラケット
この治療に関して考えられるリスク(副作用)
上下で歯の本数が違います。最終的な噛み合わせに問題がでる場合があります。
治療期間 : 29か月
費用 : 費用 : 135万円~155万円(税込)
※費用については分割払いが可能です。詳しくはこちら
患者様の声
小さい頃から歯医者さんが大嫌いだった私。歯並びが悪い事は小学生の頃から感じていて、でも大人になるにつれてからかわれなくなり安心しきっていました。それは周りも大人になっていたからでした。大学生の頃、虫歯で歯が痛く渋々近所の歯医者さんへ行った時、その先生は虫歯ではなく私の歯並びを見るや否や、びっくりしながらこう言いました。「何で今まで矯正しなかったの!??」この一言で私の歯並びは酷いものだと再確認(笑)。大学卒業後、アイ矯正歯科クリニックさんへ行く決意をしました。まずは親不知を全て抜きました。治療が進むにつれ他の歯も抜き、合計7本抜きました。でもそれよりも辛かったのは装置自体です。とても痛く、やっと慣れた!と思った頃、アイ矯正歯科クリニックさんへ行くとまた痛くなる(笑)。最初は見た目として表れる大きな動きもなく、へこたれそうになりましたが、通うにつれ装置は体の一部になり、痛みとの向き合い方も分かっていき、装置が外れた今、寂しさすら感じています。4年間、毎月1度、必ず訪れていたアイ矯正歯科クリニックさん。もう先生方にあまり会えなくなるかと思うと、これまた寂しいです(笑)。本当に感謝していますし、本当に行って良かったと思っています。この綺麗にしていただいた歯並びをずっとずっと保てるように、これからも頑張ります。
FROM DOCTOR担当医より
とても協力的な患者様でした。リンガルブラケットを使用した治療をおこないました。装置が外れる日に私が“よくがんばりましたね”と言うと、“先生も大変でしたでしょ”と労いの言葉をかけてくださいました。感想文のお手紙を書いてくださいました。その中に記載されている事はよく理解できます。特に最初に大臼歯を後方へ移動させました。extention lingual archと呼ばれる大臼歯を後方へ移動させる装置を使用しました。それが最初に記載されている苦痛の原因です。そしてこの装置は大臼歯を後方に移動するのが専門の装置ですから前歯には何の変化もありません。他の患者様の2倍の期間が要しました。患者様はよく治療を理解してくれていました。患者様の努力がなければこの結果は得られませんでした。治療が成功すると、患者様もうれしいのですが私も大変幸せな気分になります。ありがとうございました。