Case No.164
乱杭歯過蓋咬合治療例
女性 20代 静岡県静岡市葵区
治療例No.173 大臼歯を喪失したために深い噛み合わせになった症例
来院時の写真
気になっている点(主訴): 深い噛みあわせ 大臼歯の喪失
今回は過蓋咬合(かがいこうごう)の症例です。過はすぎると言う意味です。蓋は訓読みでは "ふた" と読みます。すなわち蓋が被さり過ぎているという事です。前歯のかみ合わせが深い時に使う歯科用語です。歯科用語は一般的な言葉がすくないので理解するのが大変ですね。この過蓋咬合も上顎前突(出っ歯)の仲間です。
この患者様は他にも大きな問題があります。上顎右側第一大臼歯、下顎右側第二大臼歯が欠損している事です。黄色の矢印やボックスで示した場所です。下顎の第一大臼歯が上顎の欠損部に入り込んでしまっています。噛んでいません。すれ違っています。これによって高さを失っています。そして深い噛みこみになっています。
大臼歯のかみ合わせがないと噛んでいないために前歯のかみ合わせが深くなります。
しかも下顎の大臼歯が入り込んでしまうので上顎の欠損部位の治療はできません。インプラントも入れ歯もブリッジにもなりません。
治療は大臼歯のかみ合わせを改善する事から行わなければなりません。大変な治療の開始です。 さらに八重歯もあります。
頑張りました。さて装置を外す直前の状態をご覧いただきます。
治療中の写真
いかがでしょうか?大臼歯を噛ませる事によって、かみ合わせが改善しました。前歯部のかみ合わせは正常です。すれ違っていた右側の大臼歯も噛んでいます。矯正治療のために抜歯はしませんでした。一般歯科治療を考慮して歯を排列しました。
この患者様は静岡市から通って来られていました。治療中にご結婚、出産を経験されました。今後の一般的な歯科治療は静岡の開業医さんにお願いします。
今回も表側には一切装置を装着していません。
上下リンガルブラケットで治療しました。
かみ合わせが深い方はあきらめないでください。必ず治ります。
院長 福井の診断ノート
診断名 :
大臼歯部の欠損による過蓋咬合
大臼歯部が欠損してそのままにしてしまったためにこういった歯並びになった事が予想できます。大臼歯や歯の欠損はなるべく早く処置される事をお勧めします。今ならインプラントがお勧めです。
大臼歯部の欠損部に下顎の大臼歯が入り込んでいます。そのために前歯の高さを失ってしまいました。噛んでいません。他にも歯をうしなったり、歯冠部が崩壊している歯がありました。こういった場合は一般歯科治療の事を考慮して治療をおこないます。なるべく将来人工的な詰め物を減らすという事を考えます。それは人工的な物には寿命があるからです。長い人生の中で何度も作り直しが必要になります。
抜歯部位 : 今回の矯正治療では抜歯していません。
治療に使用した装置 : リンガルブラケット
この治療に関して考えられるリスク(副作用)
欠損歯があります。う蝕にならないように注意します。
治療期間 : 30か月
費用 : 費用 : 135万円~155万円(税込)
※費用については分割払いが可能です。詳しくはこちら
担当医より
大変難しい症例でした。大臼歯がすれ違っていました。本来あるべきかみ合わせではありませんでした。“これは何とかしないと”とかなり強い使命感を持って治療しました。このかみあわせでは将来様々な障害が予想できます。顎関節症、さらに歯を失う可能性、消化器官としての歯の役割も果たしていませんでした。