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ドクターズブログ

見えない矯正治療-リンガルブラケットとは。特徴や治療例を紹介します

CONTENTS

リンガルブラケットの歴史

リンガルブラケットは安心のmade in Japanです。

私とリンガルブラケットとの出会いは1986年の矯正科入局まで遡ります。長い年月があっと言う間に過ぎました。何と34年目の春です。よく患者様に言われます。“そんな昔からあったんですか?”

ここでリンガルブラケットの歴史について記載しておかなければなりません。最近になって、特にリーマンショック以降にリンガルブラケット、裏側矯正、見えない矯正治療と言った単語が歯科医院のホームページに多く見られるようになってきました。しかし、どこで研鑽を積まれたのか?誰に教えてもらったの?まさか講習会?講演会だけ?自己流?それは無茶だな。疑問に思う所もあります。リンガルブラケットをメインの治療法としている大学はどこにもないからです。患者様に間違った情報も流れている所もあり、私はなるべく正確にここで記載して行こうと思います。

歯にブラケットが直接接着できるようになりました

リンガルブラケットの始まりに先だってこの事を記載しなければなりません。歯にブラケットを直接接着できるようになったのは1970年代の初めです。当時、東京医科歯科大学矯正歯科学講座の教授であった三浦不二夫先生らがアメリカの矯正歯科学科誌に投稿した論文“New direct bonding system for plastic brackets”に掲載しました。残念な事に三浦先生は昨年お亡くなりになりました。私たちも大変お世話になりました。

治療技術の紹介はアメリカ矯正歯科学会機関誌であるAmerican Journal of Orthodonticsに発表するのが正式です。これはこのジャーナルが世界的な権威だからです。このジャーナルに発表されていないテクニックには疑わしいです。現在はAmerican Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedicsと名前が変更になっています。これは矯正歯科は歯並びだけではなく顎顔面の事も考慮するという事です。

もし新しい治療法がどんなものかを確認したい時は、PubMedで検索してみてください。PubMedで検索できないような治療法はお勧めできません。

このリンガルブラケットを用いた矯正治療法は歯に直接接着させる材料“Direct Bonding System”の開発がなければ成り立ちません。

日本人によるリンガルブラケットの発明

リンガルブラケットの発明は藤田欣也先生によるものです。藤田先生は私たちの直接の師でもあります。リンガルブラケットの世界ではlegendです。藤田先生は1970年代に歯の内側(裏側)にブラケットを装着して治療をする事を考えました。歯にブラケットが接着できるという論文が1971年ですからそれからとても短期間でリンガルブラケットの開発が始まった事がわかります。最初は一般的な表側のブラケットを歯の裏側に接着して治療する事を試みました。しかし、これではうまく行きません。そこで独自のブラケットの開発に乗り出します。1976年には日本での特許、そして1980年、1982年にはアメリカでの特許を取得されています。そして最初の英語での論文が1978年に “Development of Lingual Bracket Technique” 日本歯科理工学会誌に掲載されています。まさに“リンガルブラケット技術の開発”というタイトルです。そして1979年にもっとも有名な論文がアメリカ矯正歯科学会誌に掲載されます。“New orthodontic treatment with lingual bracket mushroom arch wire appliance”です。この論文は全世界に衝撃を与えました。初めて歯の裏側面にブラケットを装着した治療に関する論文です。さらに1982年に“Multilingual-bracket and mushroom arch wire technique”を同じアメリカ矯正歯科学会誌に発表します。この論文中には治療例が5症例も掲載されています。さらにブラケット装着時の発音に影響がない事も確認しています。私はこの時期、新聞で先生の記事を読み、この治療について憧れをもっていました。アメリカでも報道されたと聞いています。これがFujita Method(フジタメソッド)の始まりです。その数年後に本人にお会いして直接教えて頂く機会を得たのは奇跡だったのかもしれません。

藤田先生はこの論文の中で発音の検査を実施した。その結果、すぐに回復する事を確認しました。

アメリカ矯正歯科学会誌から以下に原文のままの文章を引用しました。リンガルブラケット装着時の発音を実験的に測定し、評価した結果です(“New orthodontic treatment with lingual bracket mushroom arch wire appliances” Kinya Fujita, American Jurnal of Orthodontics in 1979: p. 657-669. 1979年アメリカ矯正歯科学会誌)

The patient showed no great effect from the lingual bracket and mushroom arch wire on the pronunciation of the vowels ” a and o”. Howevere, the pronouciation of “i, u, and e” was somewhat disturbed on the first and fouth dais. The pronunciation of these vowels was back to normal (pretreatment condition) on the sixth day.

6日もすれば発音はリンガルブラケットを装着する前に戻ったと記載されています。どちらにしても長期間にわたって発音を害する事はありません。

リンガルブラケットによる歯の動きはよく誤解されている事があります。

リンガルブラケットは歯の動きが悪い、あるいは遅い。まったくの嘘!

これはまったくの嘘です。リンガルブラケットについて色々な間違った話が一人歩きしています。そこでこの項ではリンガルブラケットの歯の動きについて記載します。

 

リンガルブラケットと表側のブラケットの比較

リンガルブラケットと一般的な表側のブラケットの大きな違いは、その接着位置にあります。

この図は下顎の前歯です。前歯はわずかに前傾しています。Aはリンガルブラケット(フジタメソッド)Bは一般的な表側のブラケットを示します。C.Rと言うのはcenter of resistance(抵抗中心、Charles J. Burstoneによる)の略です。これは抵抗中心と呼ばれ矯正歯科の世界では一般的に認められている点になります。この点は歯根長の上方1/3あたりにあると言われています。歯をうごかした時の中心点になります。この点を中心に歯は傾斜します。リンガルブラケットはこの抵抗中心の上方、あるいはわずかに内側に位置します。これに対して表側の一般的なブラケットはかなり外側に位置します。これが2種類のブラケットの動きの違いになります。

表側のブラケットは歯を前方に傾斜させます。

裏側のブラケットは歯をわずかに後方に傾斜させます。

この歯の動きはまったく逆の動きになります。これは歯科医にとって大変重要な点です。私がよく言う事に なん年も表側のブラケットを使って治療していてもリンガルブラケットで治療できるようにはならない。表側のブラケットでの矯正治療の経験が長ければ長いほどリンガルブラケットは扱えない。それはまったく別物だからです。” 

前歯は内側に移動する

この図のようにリンガルブラケットの歯の移動は前歯を後方へ移動します。これは日本人にとっては大変喜ばしい事です。日本人は鼻と口元の位置を気にします。そこで口元が前に出る。すなわち鼻が低く見える事を嫌います。リンガルブラケットは歯を前方に移動させません。さらに大臼歯を後方に押す力を生み出します。そこでアンカースクリュウの必要性がなくなります。大臼歯の前方移動が起きにくいからですアイ矯正歯科クリニックではアンカースクリュウを使用しません。

治療例No.215 上下顎前突

私との出会い

大学の矯正科に入学してから私はすぐに鶴田正彦先生のグループに配属になりました。その鶴田先生と藤田先生はまさに盟友です。今でもその関係は継続しています。鶴田先生の門下だけが大学でこの治療法を習い実際に治療する事ができました。他にはありませんでした。

後に大変幸運な事である事に気づきます。その当時は毎日大変でした。表側からでも治療ができない私が裏側から治療を始めたのです。鶴田先生は大変厳格な先生です。矯正歯科医としてのキャリアとリンガルブラケットでのキャリアは同じです。

一年後の1987年にソウル大学出身の留学生:洪 倫基(ホンユンギ)先生を誘い藤田先生の所で研修する事になります。洪先生とは今でも友情関係を維持しています。洪先生は韓国裏側矯正歯科学会の前会長であり、美容の国韓国にリンガルブラケットによる矯正治療を紹介した第一人者です。

リンガルブラケットの現在

藤田先生は40年間の間に細かくは7回、大きくは6回のブラケットの形態を変更しました。現在使用しているブラケットは第6世代となります。大変完成度の高いブラケットを提供してくれています。ブラケットは新しいほどよいと思われるかもしれません。しかし、そうではありません。矯正治療は治療期間が最低でも2年は必要になります。さらに保定まで含めるともっと長期間の評価が必要になります。早く歯が動くと言う事は決してありません。従って、新しい技術の成功を確認するにはさらに長期間を要するという事になります。最新のというのは本当は不適切な表現かもしれません。まだ試していないの?と言った感じを私は受けます。患者様はモニターではありません。

 現在のブラケットの構造はマルチスロットという特殊なブラケットになります。上下2段のメインアーチワイヤーを装着する溝(スロット)と真ん中に穴が開いています。これ以上の多機能性を持たせるのはブラケットの強度を考えると不可能です。機能を高める必要があるのは、お口の中の狭い場所でのアプローチになるからです。

リンガルブラケットに関する私たちの論文

Invisible treatmentというのは“見えない治療”と直訳できます。私の論文には多く使用しています。Invisibleというのは私にとって重要な事です。世界的にみてもリンガルブラケットに関する治療報告は非常に少ないです。国際誌の場合は論文を投稿した後に査読者の評価、判定が必要になります。欧米の矯正歯科医の中にはリンガルブラケットを見た事も使用した事もない歯科医が多くいます。こういった歯科医が査読者になった場合は正確な判定ができない可能性があります。

 

Fukui T, Fukui K, Yoshida K, Tsuruta M, Galang TM. Invisible treatment of a severe Class II deep overbite with narrow mandibular dental arch with multilingual bracket appliances. J World Fed Orthod 2017; 6: 69-79.

 

噛み合わせの大変深い患者様を治療した治療例です。噛み合わせが深いと上の歯の裏側にブラケットを装着すると下の前歯にぶつかってしまい、リンガルブラケットでの治療は不可能だと言われています。実はそんな事はありません。それを証明するためにこの症例報告を発表しました。

 

Fukui T, Suga K, Fukui K, Tsuruta M, Galang TM. Invisible treatment of a severe Class I crowding with multilingual bracket system using new double mushroom archwire technique in a young adult female patient. J World Fed Orthod. 2015; 4: 151-161.

 

“double mushroom archwire technique ”これは私が考え出した治療テクニックです。藤田先生も認めてくれています。術者には高い技術が必要になります。しかし治療結果は格段に向上しました。

 

Fukui T, et.al. Treatment of a horizontal open bite with an invisible multiloop appliance in a girl with tooth trauma. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 2009; 136(4): 596-606. (1.472)

(アメリカ矯正歯科学会誌)

5歳の時に交通事故にあった患者様をリンガルブラケットで治療しました。事故で失った部分を他の場所から歯を移植する事によって治療を行いました。自家移植をおこないました。

 

Fukui T, Tsuruta M. Invisible treatment of a Class III female adult patient with severe crowding and cross-bite. J Orthod. 2002; 29(4): 267-275.

(イギリス矯正歯科学会誌)

反対咬合(受け口)の患者様を外科手術なしでリンガルブラケットで治療しました。この2002年から2003年にかけてシカゴにあるイリノイ州立大学歯学部矯正学講座に留学していました。留学中に雑誌にpublishされて大変うれしかったのをよく覚えています。これがきっかけでイリノイ州立大学シカゴ校(UIC)の矯正学講座で1時間の口演を行いました。初めての英語での口演で大変緊張しました。矯正科の修士課程の大学院生、テリーズとショーンが英語を直してくれました。今ではテリーズは准教授になって活躍しています。今でも交流があります。

 

Fukui T, et.al. Multilingual bracket treatment combined with orthognathic surgery in a skeletal class III patient with facial asymmetry. Am J Orthod Dentofacial Orthop. 1999; 115(6): 654-659.

(アメリカ矯正歯科学会誌)

この論文で世界で初めてアンカースクリュウを使用しました。今ではアンカーインプラントと言われる事もあるようです。当時は特別な名前はありませんでした。整形外科で骨折した骨を固定するために認可されていたスクリュウを下顎骨に埋入して使用しました。

リンガルブラケットを使用して外科矯正をおこいました。手術した直後に顎の骨を固定するために使用しました。現在、私はアンカースクリュウを使用していません。技術的に使用しなくても克服できるからです。患者様の負担軽減にもなります。

リンガルブラケット、見えない矯正治療の本を出版する事になりました。

アイ矯正歯科クリニック 業績集

ダブルワイヤーテクニック

海外招待口演

私は口演が好きではありません。人前で話す事は苦手です。緊張するし、英語も下手だし。しかし、招待したい、聞きたい、旅費も宿泊費も負担します。と言われると断る理由がありません。光栄な事です。しかし、行くまでが大変です。やはり好きではありません。

Invisible Treatment: Fujita lingual bracket and mushroom archwire” Dental Bean China & Eva Care. 北京, 中国. 2018.12.1-3

“Double Archwire Technique for the lingual bracket treatment with Fujita Lingual Bracket”. key note speaker, the 6th Scientific Congress of World Society of Lingual Orthodontics. Coex, Seoul, Korea. 2015.7.3-5.

“A new double wire technique in the Fujita method” key note speaker, the 4th Congress of Korean Association of Lingual Orthodontists, Catholic University of Korea, Seoul, Korea (KASLO). 2011.4.17.

Invisible Treatment: Lingual Orthodontics Fujita Method.中日友好医院開院20周年記念, 北京大学歯学部矯正学講座主催, 北京, 中国. 2004.10.25-27.

Invisible Treatment: Lingual Orthodontics Fujita Method. University of Illinois at Chicago, Department of Orthodontics. Chicago, USA. 2003.7.8.

1. Vertical control. 2. Open bite case. 3. Telescopic occlusion case II. 4. Lingual bracket. 5. Skeletal Class III case. The UDF (Ulsan Dental Forum) International Dental Seminar, Ulsan, Korea. 2000.7.7.

アイ矯正歯科クリニックにおけるリンガルブラケットを用いて治療した治療例です。私たちはアンカースクリュウなどは使用しません。すべての不正咬合にリンガルブラケットは適応可能です。他の医院で断られた方はぜひアイ矯正歯科クリニックにご相談ください。真実のリンガルブラケットでの治療例をご覧ください。

叢生(でこぼこ)、八重歯

治療例No.189 八重歯 大きな歯 大臼歯の欠損

治療例No.141 乱杭 叢生 翼状捻転 対称捻転

治療例No.186 狭い歯列と激しい叢生

治療例No.180 重度な八重歯

治療例No.177 八重歯で過蓋咬合(大変深い噛み合わせ)

治療例No.119 完全な八重歯です。

反対咬合、下顎前突

下顎前突(受け口)の治療について

治療例No.147 叢生(そうせい)反対咬合 下顎前突

治療例No.188 反対咬合 下顎前突 非抜歯

治療例No.175 厳しい叢生 骨格性には下顎前突傾向

治療例No.172 骨格性下顎前突

治療例No.167 厳しい反対咬合 下顎前歯の動揺

治療例No.118 反対咬合(受け口、下顎前突)非抜歯で治療

上顎前突

上顎前突の診断と種類そして治療例

治療例No.149 若年者の上顎前突 非抜歯

治療例No.52 上顎前突 私が治療した中でもっとも厳しい症例です。

治療例No.138 上顎前突 出っ歯

治療例No.184 上顎前突、小臼歯が重なってはえています。

治療例No.183 上顎前突 深いかみ合わせ

治療例No.121 出っ歯 上顎前突

上顎前突 深い噛み合わせ 過蓋咬合

Case. No 185 過蓋咬合 深い噛み合わせ

治療例No.143 歯周病と矯正治療

治療例No.183 上顎前突 深いかみ合わせ

治療例No.173 大臼歯を喪失したために深い噛み合わせになった症例

治療例No.156 過蓋咬合(かがいこうごう)深い噛み合わせ

治療例No.154 過蓋咬合 上顎前突 噛み合わせが深い

上下顎前突 口もとの突出した症例

上下顎前突(じょうかがくぜんとつ)

治療例No.104 正常咬合ではありません上下顎前突です。

治療例No.107 叢生 上下顎前突 口もとの突出

Case No.  43  叢生(でこぼこ)を伴う上下顎前突

治療例No.137 叢生 上下顎前突 口元の突出感

治療例No.110 上下顎前突 口元の突出感

治療例No.160 でこぼこ 口もとの突出感

治療例No.107 叢生 上下顎前突 口もとの突出

治療例No.101 上下顎前突と口もとの突出

開咬 噛んでいても前歯が噛んでいない

開咬治療(かいこうちりょう)

治療例No.181 開咬 open bite 難症例

治療例No.174 開咬でしかも上顎前突さらに八重歯

治療例No.161 開咬 上顎前突

治療例No.151 開咬 反対咬合 V字型歯列弓 非抜歯

治療例No.134 開咬 前歯が噛んでいません。

治療例No.103 唇が閉じられない 開咬 上下顎前突

治療例No.100 開咬 叢生 でこぼこ 歯の健康には重要

治療例No.111 反対咬合 開咬 八重歯

 

 

 

福井 只美
 

このブログの執筆者
福井 只美医師(日本矯正歯科学会指導医・認定医)

リンガルブラケットについては長年の経験があり、
自身で開発したダブルワイヤーテクニックを用いた治療を得意としております。                
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